こんにちは。仮想通貨をはじめたばかりの頃は私も「 ハードフォークとは 」何かについては実態がよくわかっていませんでした。


私も最初はこんな疑問があってハードフォークについて調べたことがあります。
ハードフォークといえば仮想通貨の分裂とよく言われています。
(ちなみにフォークとは分裂というよりは「分岐」という意味です。)
しかも仮想通貨の分裂とはいってもパンをちぎって渡すように半分子になるのではなく増殖する意味の方が正しいです。
じゃあ無限増殖させれば無限にお金を生み出せるじゃん。と思うかもしれませんが、そうはならないのもハードフォークです。
また、例外もいくつかありますがハードフォークとはロックバンドミュージシャンと似通ったところもあります。
「って一体どういうこと?」
と考えた人もいるかと思いますのでそうしたところも含めてハードフォークの仕組みや事例なども解説していきたいと思います。
この記事を読むことで、ハードフォークをしっかり理解して、自分の保有している仮想通貨がハードフォークを実施するときでも冷静に対処できるようになります。

ハードフォークとはどういう状態

そもそもハードフォークとはどういう状態を指すのでしょうか。
ハードフォークとは、ただそのまま複製して分岐(フォーク)するのではなく、ブロックチェーンの仕様に変化を加えた上で分岐するアップデートです。
例えば、ビットコインはブロックを 10分間 に1度のペースになるように作られますよね。
これはビットコインのブロックチェーンの仕様として決まっていて、そのままでは変化を加えることができません。
ですがハードフォークではこの 10分間 に 1度のペースを 5分間 に 1度のペースにもアップデートすることができます。
その上で、元になった仮想通貨を残したまま、新しいブロックチェーンとして分岐することができます。

上の画像のように、仕様が変わって分岐することができます。
分岐したあとは、元の仮想通貨と分岐した後の仮想通貨がお互いに干渉しあったり、連携したりするようなことはありません。
分岐したあとはもう “独立した仮想通貨” として新しく稼働していきます。

元の仮想通貨と分岐した後の仮想通貨がお互いに干渉しあったり、連携したりするようにあらかじめ設計された仮想通貨にLiskがあるにゃあ。
連携できるようにブロックチェーンを分岐させる技術は「サイドチェーン」と呼ぶにゃあ。
サイドチェーンについては下の記事が詳しいですよ。
過去の取引履歴は残ったままになっている

アップグレードしていない機能はそのままにしつつ、分岐したあとは新しいブロックチェーンの仮想通貨として稼働すると説明しました。
ですが、過去の取引履歴は残したまま引き継ぎます。
10万ブロック目 からハードフォークして新しく 10万1ブロック目 が誕生したとします。
すると今までの 10万ブロック の履歴はハードフォーク後のブロックチェーンにも残ったままになります。
ビットコインキャッシュ爆誕 ~有名なハードフォークの事例~

大型のハードフォークの事例としては「ビットコイン」と「ビットコインキャッシュ」のハードフォークです。
もちろん、「ビットコイン」が元の仮想通貨として分岐してから「ビットコインキャッシュ」が登場しました。
具体的にどう変わったのか
BTCとBCH比較 | ![]() | ![]() |
ブロックサイズ | 1MB | 8MB |
ブロック生成時間 | 10分間 | 10分間 |
難易度調整 | 14日毎 | 条件次第で都度 |
容量の拡張性 | なし | あり(32MBまで拡張可能) |
主要な開発グループ | Bitcoin Core | Bitcoin Unlimited |
発行上限枚数 | 2100 万枚 | 2100 万枚 |
Segwit | あり | なし |
実際にどのように変わったのかは上の図のままです。
一番大きなところは容量の 1MB から 8MB への変更のところです。
(ビットコインから派生後にさらに仕様変更が加わって 32MB にまで拡張されました。)
ハードフォークは派閥争いだ

ハードフォークの本質は派閥争いに近いものです。
元の仮想通貨に込められた理念の解釈によって、「仕様を変えたらいい」とか「何も手を加えない方がいい」という結論に変わります。
特にビットコインの場合は最初の仮想通貨である分それが強いかもしれません。
なぜビットコインはハードフォークを決行したのでしょうか。
その理由は大まかに「可能な限り手を加えない派閥」と「時勢に応じてどんどん変化を加えていくべきだよ派閥」に分かれていたからでした。
要するにすぐに変化が必要な場面なのに統一見解が得られない状況だったんですね。
議論をいくら重ねてもキリがないので急進派なチームがハードフォークを決行することでビットコインキャッシュが誕生しました。
とはいえあくまでもハードフォークは苦肉の策として行われる意味合いが強いです。
ビットコインからビットコインキャッシュが誕生するまでのストーリーは下の記事にも記載があります。
ハードフォークをしまくっても上場しなければ意味がない

一方で、お金儲けのためかは定かではないのですが、意味のなさないようなハードフォークもたくさん行われました。
実はビットコインをはじめとする仮想通貨のハードフォークは誰でも行うことができます。
(すべての仮想通貨という意味ではありません)
実はハードフォークはプログラミングなどのある程度の知識さえあれば誰でもやれてしまいます。
実際にビットコインプラチナムという仮想通貨は韓国人の高校生がハードフォークさせたと言われています。
むしろ、ビットコインでサクッとハードフォークができるWebサービスさえリリースされています。

上の画像のように、いくつかの項目を入力していくだけでハードフォークを行うことができるのがForkgenです。
生成には0.017BTC(執筆時)必要だそうです。
セキュリティに関するオプションを加えるとオプション料金がかかったりするようです笑
他にもビットコインを始めとする仮想通貨は勝手にたくさん分岐させられているのですが、そのほとんどが日の目を見ないまま消え去っています。
それはナゼかといえば、いろいろな理由が挙げられます。
「通貨として人々が認識できない」「上場していない」「プロモーションができていない」「意味がない」
大まかに上の4つくらいの理由は考えられます。
結局は売買できなければ意味がありません。そして売買できた先に未来がなければ意味がありません。
誰が作って、どれだけ革新的でどういう想いがあるのかといったモノがないと誰も「投資したい」ってなりませんね。
大前提としては取引所に認められて、かついろんな人が「欲しい」と思うように地道に拡散していくハードフォークでないと意味がありません。
ハードフォークはロックバンドと変わらない

派閥争いの話とかぶりますが、ハードフォークを言い換えるとロックバンドでいうところの「音楽の方向性の違い」のようなものがハードフォークです。
理念の解釈の違いでハードフォークして開発陣もろとも分岐していく様は、チームから脱退して新しいチームを組んで新しい音楽をリリースするロックバンドと同じです。
そして、意味のなさそうなハードフォークをする人たちは「そもそもチームにすらカウントされていないコピーバンド」のような人々です。
コピーバンドの人がいくら「方向性の違いで」といって新しいメンバーを組んだところで影響力はありませんよね。
結局、メジャーデビュー(仮想通貨の取引所に上場)しなければ流通しません。
取引所に上場するためには取引所との交渉や、一般の人に響く仮想通貨でないといけませんね。
これはお金目的だけで意味のあるハードフォークを作ることはできないということです。
この言葉が流行りはじめたタイミングでは新規性があって話題にはなってましたが今はもう微妙です。
むしろ、詐欺するためにハードフォークをする人たちもいました(断言はできませんが)
最近は見かけなくなったのですが、ハードフォークで分岐した仮想通貨を受け取るために偽物の口座に仮想通貨を振り込ませてだまし取るような事例です。
主犯者がハードフォークをした人とつながりがあるのかは分かりませんがこうした悪影響しか及ぼさなかったハードフォークもありました。
「リアルマネーはコピーできないのになんで仮想通貨はコピーしても価値があるの」
というところに関しては、実際のところハードフォークがなんども起これば通貨としての信頼性は失うので「価値」が本来さがっていくハズです。
でも、実際はコピーバンドがいくら増殖しても日の目を見ないまま消え去るように、無限増殖できたところで影響力がないということです。
そして話題になるようなハードフォークは滅多にないのでハードフォークが原因で価値が下がる、もしくは意図的に下げていくようなことは超絶にむずかしいのかなと思います。
分岐しないハードフォークも存在する

上でハードフォークは機能をアップグレードさせて新しいブロックチェーンを作ることだと説明しました。
ただし、中にはブロックチェーンを分岐させないハードフォークも存在します。
分岐しないハードフォークとは、あらかじめ 統一見解を得ているハードフォーク になります。

画像のように、ブロックチェーンの機能をアップグレードさせた後に、元になったブロックチェーンは稼働させずに、アップグレード後の新しいブロックチェーンをそのまま使って行きます。
仮想通貨の名前も変わらないし、あなたのウォレットに入っている仮想通貨にも変化が何もありません。
純粋なアップグレードですね。
普通は勝手にアップグレードなんてとても出来ませんね。ですが、「イーサリアム」では実際に統一見解のあるハードフォークが行われました。
「イーサリアム」といえば、ビットコインの次に誕生した世界で2番目に有名な仮想通貨です。
その「イーサリアム」が統一見解を持ってアップグレードちゃちゃっとやってしまうのは少し疑問に思うかもしれません。
実は「イーサリアム」は仮想通貨として世の中に出る前の設計段階ですでに、アップグレードしていくことがもともと計画されていました。
大まかに3回のアップグレードが含まれていて、「スマートコントラクト」をより現実の世界で利用しやすく、簡単にしていくように進化しています。
事前に決められているアップグレードに関してはみんなが認めるアップグレードですのでブロックチェーンが2つに別れることはなかったということですね。
イーサリアムのアップグレードに関しては下の記事でも触れているので良かったら読んでみてください。
ハードフォークの兄弟!ソフトフォークとは

ハードフォークの他に、ソフトフォークという言葉もありましたが知っていましたか?
ソフトフォークもハードフォークと同じように「方向性の違いで」分岐するイベントです。
統一見解があれば、分岐しないのもハードフォークと同様です。
では、どこの部分で異なるのでしょうか。
ハードフォークは仕様を変更してアップグレードしますが、ソフトフォークはアップグレードせずに分岐します。
「アップグレードしないんだったら何をするの?」というところに関しては、
仕様をそのままで変更できるところを変えるパターンがあります。
仕様をそのままにして変更ってどうやるんだろう。と思うかもしれません。
例えば、ビットコインに使われているプログラミング言語は、一時的に使えなくしているコードなどがあります。
スイッチを切り替えるように一時的に使えなくしているコードを使えるようにする場合はソフトフォークとして行うことがあります。
仕様をそのままで変更できるところを変えるパターンの代表は「segwit」と呼ばれる技術をビットコインに取り入れるためのソフトフォークでした。
ハードフォーク&ソフトフォークのダブルプレイ ~イーサリアム事件簿~

他にも、単純にブロックチェーンをコピーする目的で
「理念を残す」という抽象的な理由でコピーする事例がありました。
代表的な事例はイーサリアムのDAO事件です。
DAOとは、イーサリアム上で自立分散型の組織プロジェクトを開催するためのプラットフォームです。
DAO上に開催したプロジェクトは投資家からお金を集めることができました。
ですが、そこで大型のハッキング(当時 65億円 相当)が起こりました。
65億円 をそのままにしておくワケにはいかないという結論になり、最終手段としてロールバックを行いました。
ロールバックとは強制的にハッキングをなかったことにするようにプログラミングした内容でハードフォークをすることです。
これが「中央集権的だ」といろいろな人から言われて内部で揉めてしまいました。
今後も同じように事件が起こった際に同じように手を加えられたのでは仮想通貨の理念に反すると思った派閥はハードフォーク後に「イーサリアムクラシック」を作りました。
これが、コピーの目的でソフトフォークを行った代表例です。
ハードフォークの価格への影響は?

ハードフォークの価格への影響はどうでしょうか。
だいたいは「期待で売って事実で売る」パターンが多いです。
仮想通貨のイベントは「短期間」の話でいえばだいたいが「期待で売って事実で売る」ことが多いです。
長期的に伸びる傾向のあるイベントもあります。
ハードフォークの場合の「期待」とは何かといえば、仮想通貨が分裂するので分裂した仮想通貨をもらいたい人が一時的に集まります。
そうすると、短期的に相場がアップするので釣られ買いをする人が増えて価格が高まります。
そしてハードフォーク直後に価格が下がってしまいます。
お金目的の人が一気に抜けて相場だダウンし、それに釣られる人が出てくるからです。
これは、長期保有者にとってはまどろっこしいイベントですね。
ハードフォークをきっかけに長期保有した分を手放すまでもありませんが、ちょっと釣られそうになります。
ハードフォーク後に地の底に落ちるような暴落はありませんので長い目で見ておくと良いと思います。
ハードフォークではありませんが仮想通貨のイベント後の価格の変動についてまとめている記事があるので興味があれば読んでみてください。
今までビットコインからハードフォークした仮想通貨

今までビットコインでハードフォークした仮想通貨はどのくらいあるのでしょうか。
ビットコインゴールド
ビットコインダイアモンド
スーパービットコイン
ライトニングビットコイン
ビットコインゴッド
ビットコインウラン
ビットコインシルバー
フォックスビットコイン
ビットコインプラチナム
他にも表にはあまり出てこないでもハードフォークをしているビットコインがたくさんあります。
この中でまともに成長しているのは「ビットコインキャッシュ」くらいです。
イーサリアムなどでもハードフォークがなんども起こっています(何故かほとんどが中国発な気がする)
ですが、残っているのはイーサリアムだけですね。
奈良時代もハードフォークをしまくっていた?!

奈良時代に、中国(唐)から流れてきた貨幣をマネしようとして和同開珎が発行されました。
平城京でリアルハードフォークを行い、お金を大量生産して銀貨から銅貨を増やしました。
ですが、銅の素材不足のせいで銅の割合を減らした別の通貨へとさらに劣化ハードフォークを行っていきどんどん鉛の割合が大きくなっていきました。
結局、708年 から 958年 で おおよそ 12回 のリアルハードフォーク(新しい貨幣の発行)が行われ次第に庶民は貨幣の代わりにお米などをお金の代わりに物々交換をしたそうです。
お金はお金としてみんなに認識してもらえるからお金であるということの具体例だなと思います。
ハードフォークとは まとめ

ここまででハードフォークの全体像について解説できたと思います。
ハードフォークは通貨をコピーするためにやっても無駄で、派閥争いの一環として行われるということでしたね。
今後も大型のハードフォークが起こる可能性はあります。
ビットコインはこのまま機能をアップデートしないまま成長することは難しいと思いますからね。
これを読んだあなたなら、実際にハードフォークが始まる直前に長期保有をするようなこともないかと思います。
「 ハードフォークとは 」 何かについてわかったとろこで、改めてビットコインの価値について考えてみたい人は下の記事を読んでみてください。
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