【 中国とブロックチェーン 】規制と開拓のハザマで急成長する中国

中国とブロックチェーン サムネイル

中国は世界の中でもブロックチェーンの導入に積極的な国です。政府も一丸になって導入を進めています。

一方で規制のニュースがあとを立ちません。これはどういうことでしょうか。

 

この記事ではブロックチェーンの実装が進んでいる中国の矛盾するかのように見える動向についてまとめることにしました。

実際のところ、研究的なプロジェクトが世界で一番、技術の開発が盛んな地域がベルリンとしたら、中国は世界で一番大きなマーケットかもしれません。

 

エストニアが国民データにブロックチェーンを活用したことで世界的に話題になっています。

E-residnetsで日本や韓国含めて世界と技術的に協力関係を持とうとしている一方で、中国は早くも統計的に多くのデータとともに様々なユースケースを世に晒し続けています。

 

この記事を読めばここ数年間の中国の動向の要点を掴むことができるようになります。

 

ブロックチェーンについて仕組みをよく理解していないという人は ブロックチェーンとは ~やさしく仕組みを覚えて仮想通貨を楽しむ~ を読んでぜひ復習してみてください。

 

中国のブロックチェーンに関する動向

最初に 2018年 9月 までにおける中国の動向の要点についてまとめました。

中国の動向の要点
❶. 2017年度は世界で一番ブロックチェーンの特許を取得した

❷. 政府が主導で出資を増やしている

❸. ICOや仮想通貨売買に関する規制を年々強化している

 

上の通り、規制と施策が同時進行なことがわかります。

仮想通貨の売買を中心としている人にとってはバイナンスをはじめとして中国の規制のニュースはお馴染みになっているかもしれません。

 

ですが 2018年の8月13日には中国の共産党がブロックチェーンの技術を解説した入門向けの書籍を発表しました。

厳しいのかと思いきやブロックチェーンの利用を促したないようになっています。

一体、中国はブロックチェーンを普及させたいのでしょうか、それとも規制したいのでしょうか。

 

❶. 2017年度は世界で一番ブロックチェーンの特許を誇っている

中国の中央銀行と、ECモールの市場シェア率で世界を圧巻しているアリババを筆頭に、ブロックチェーンの特許の取得数は 2017年度 だけで 225件 に達しています。

 

この 225件 という数字は世界の 406件 中の過半数を占めているためそれだけ技術開発が進んでいることがわかります。

225件のうちの中国中央銀行だけで 68件 の特許を取得しています。

(国際特許の組織の数字)

 

とはいえ、分散型の未来を希望している世界中の多くの仮想通貨の研究開発コミュニティで、特許のような中央主権的な行為には興味がない人は多いような気がします。

裁判文化のアメリカが 91件 と次いで多いようです。著作権数は国の文化とも関わっているところがあるのでそのまま盛り上がりを反映しているわけではないと付け足しておきます。

 

❷. 政府が主導に出資を増やし国民情報と紐付いたブロックチェーンのIDを発給

2016年 から 2018年にかけて中国は 約4000億円 をブロックチェーンに投資しているそうです。

ほとんどが公共機関に関する開発に投じられているようです。

各都市ではブロックチェーンの企業へ投資するファンドも設立されています。

他にも中国内での目立った投資ニュースを共有したいと思います。

 

南京

南京は江蘇省にある首都です。

ZDnetと呼ばれる 約1600億円 のファンドが設立されています。

 

深セン

深センの政府は 約 80億円 程度のブロックチェーンのスタートアップへの資金調達を開始したそうです。

 

Huobi

フオビは中国の大手取引所です。自社のブロックチェーン(パブリック)の開発に 10億円 を費やしたそうです。

 

大きな金額を投資している割には英語の記事でもあまり詳細が見つかりませんでした。中国語だともっと見つかるかもしれません。

 

❸. ICOや仮想通貨売買に関する規制を年々強化している

先進的なブロックチェーンの取り組みを行う中国ですが、新しい取り組みとは裏腹に規制も強化しています。

特に、ICOや仮想通貨売買に関する業界に集中しているように見えます。

 

ビットコインキャッシュでマイナーシェアで一番になっているジハンウー率いるビットメインをご存知でしょうか。

 

ビットメインはマイニングツールとしてASICを開発している中国企業で、中国へ上場を試みているのですが、中国からは規制を食らっていて動きが鈍ってしまっているようです。

 

中国はマネーの流出を恐れている

矛盾した一連の行動はマネーの流出を恐れてのことだと思います。

 

根拠としてはICOや取引所に関する規制がメインだからです。

中国では仮想通貨と紙幣を交換できない状況になっています。

 

中国はブロックチェーンのスタートアップへ 30億円 を投資した後に仮想通貨のイベントを全て禁止にした(原文:China Bans All Crypto Events After Spending $3 Billion to Fund Blockchain Startups)

 

という記事にも記載されていますが、30億円の出資とは中国政府の投資予算によるものです。

北京の一部の区域でブロックチェーンの開発を後押しするよう呼びかけた後にその区域で開催される予定の全てのイベントを禁止しています。

 

この矛盾は政府がブロックチェーンの開発を促す一方で、政府から目が離れたところでの開発の活性化は嫌っているようです。

 

全てのイベントの内容は検閲できないため、資金が流出するきっかけになりかねないスタートアップもいるのかもしれません。

 

中国は悲観的な国家?

中国は悲観主義的な国家として知られています。

歴史的に占領と支配をなんども繰り返してきていますから、常に最悪の状況を考えながら施策をうつ傾向があると言われています。

ブロックチェーンの普及に関しても悲観的に取り組んでいるのではないでしょうか。

 

そもそも中国とブロックチェーンはコンセプトが相容れないというイメージを持つ人は少なくないかもしれません。

大量の国民を統制するためには多少は乱暴にでも統制しなければなりませんので中央主権化は必要悪な側面があります。

 

その政府が自由を象徴するようなブロックチェーンを導入するというのはどういうことでしょうか。

おそらく政府が先手を売って主導してブロックチェーンを導入しているのはマネーの流出を事前に防いでいるように見えます。

 

先にブロックチェーンが導入される間に国内で完結するブロックチェーン(主にプライベートチェーン)を導入することでパブリックチェーンの入る余地を妨げていると見れます。

マネーの流出回避の話につながりますね。

 

富裕層が中国の経済に悲観して海外にマネーを分散しようと躍起になっているのは有名かもしれません。

 

数字でわかる中国のブロックチェーン市場

中国のブロックチェーンがどのくらい盛り上がっているのか数字でまとめていました。

 

ブロックチェーンの企業数

The StatisTics ポータルによると、ブロックチェーンの企業数は 2014年 から 2017年 にかけて 5.7倍 に増えているそうです。

 

2014年 → 76社

2015年 → 120社

2016年 → 256社

2017年 → 434社

 

2018年度以降も更に記録を更新する勢いです。

特に凄いのは統計では見つけられませんでしたが、

 

ビットコインは中国に支えられている?

2018年 9月 14日 時点では代表的なマイニングプールの 74% 以上 が中国のマイニングプールによってビットコインが発掘されています。

ビットコインのマイニングプールのシェア率

画像に囲まれている範囲全てが中国のマイニングプールのみです。(マイニングプールとはビットコインをマイニングするためのファームです)

グラフに囲まれていない 6.3%の Poolin や 2.7% の Bixin までも含めると 80% 以上 が中国のマイニングプールによって採掘されています。

ものすごく多いですね。ほとんどが中国によって支えられています。

 

次にインドが多いようですがそれでもマイニングプール全体の 4% 程度のシェア率だそうです。

マイニングのしやすさは電気代の安さで決まってしまうところもありますがそれでも中国が圧倒的に数字が大きいです。

 

地域による企業の性質の違い

地域によってブロックチェーン会社の性質が異なっているそうです。

 

北京

北京は主に収益性の高いブロックチェーン関連の企業が多いそうです。マイニング企業や取引所ですね。

給料も一番、北京のブロックチェーン会社が高いようです。

 

上海

上海はブロックチェーン技術の現実で使われるための開発が盛んだそうです。

これから、0→1と言うより実際に普及させるための1→10といったところの会社が多いようです。

 

杭州

杭州はブロックチェーンタウンとしての世界の看板を目指しているようです。

ブロックチェーン産業にデザインされた中心街が建設されているそうです。

ベンチャーキャピタルとスタートアップの生態系が生まれています。

 

杭州の浙江大学では大学院生向けに「ブロックチェーンとデジタル資産」の授業を 2018年の秋頃から開講したりと、教育にも力を入れているそうです。

 

深セン

言わずと知れた深センですが、ブロックチェーンの技術開発を進めているそうです。

代表的な開発に金融機関向けのコンソーシアム型ブロックチェーンを開発したそうです。

コンソーシアム型と言うとあまり聞きなれない人も多いかもしれませんが、プライベートチェーンの一種になります。

 

プライベートチェーンは一つの組織がデータの承認作業を行うのに対して、コンソーシアム型は複数の組織が承認作業を行うブロックチェーンになります。

IBMなども開発してるブロックチェーンですが、通貨を発行しないタイプが一般的?かと思います。

 

 

新しいプロダクトが次々と生まれている深センではマイニングのチップの生産も行われているそうです。

 

動き出しているプロジェクト

世界がブロックチェーンの普及にあくせくしている中、中国では実利用が既に始まっています。

その中でも比較的に世界から注目されているプロジェクトを紹介します。

 

手ぶらで国境を超える?THEKEY

THEKEYは「中国のイーサリアム」という異名を持つNEOベースで作られています。

THEKEYは国民の重要情報をブロックチェーンで管理するためのID認証法を開発するプロジェクトです。

 

中国ではPIIと呼ばれる個人を識別するための情報があります。

それとは別にブロックチェーン上で識別を可能にするための技術であるBDMIがあります。

PIIとBDMIを一緒に使うことによってブロックチェーンで個人情報を管理できるようになります。

 

THEKEYの技術を使ったアプリでは病院へ行った際にすぐに患者の医療データを共有することができるようになるそうです。

パスポートとも連携して使えるようになるらしいです。

パスポートと連携してパスポートと同等になればスマホのみの手ぶらで国境を超えることができるようになるかもしれません。

 

サプライチェーンの透明化を図るJD.com

JD.comのロゴ

中国で2位のECモールを運営するJD.comです。

JD.comでは付加価値の高い鶏の追跡などを可能にしているそうです。

食卓までに運ばれる食材を追跡できるブロックチェーンの導入を進めています。

 

高級食材とうたわれていても見かけだけ良い場合も多いです。

 

偽物の情報に懐疑心を抱く人も多いので、中国のJD.comでは生産者からお客に届くまでの一連の流れをブロックチェーン上に載せられるようにしています。

買い手はすぐに確認することができます。

 

これはブロックチェーンの実用例としては世界が参考にすべき事例かもしれません。

サプライチェーンにおけるブロックチェーンによる透明化の導入は今、世界でもホットなトピックかと思います。

 

E-BaoNet

THEKYEプロジェクトの一部ですが、THEKYEで集めた国民の健康情報を利用して社会保険を契約するためのプロジェクトです。

個人の正しい健康情報データに基づいて保険料が変わっていくのではないでしょうか。

 

今までの保険会社が行っていたこととあまり変わらないかもしれませんが、より精度が高まり調査コストが削減できるかと思います。

 

PSYCHO PASSの世界観は中国で実現しつつある

サイコパスとは個人のデータが数値化された先の世界を描いた近未来SFのアニメです。

 


中国は個人に信頼スコアを格付けする仕組みも開発中らしく、信頼スコアが低い人は公共機関を使えなかったりお金を借りられなくなります。

 

政府のブロックチェーンの扱い方に関しては一番、注目されそうな分野ですね。

 

そもそも中国はブロックチェーンの開発に特別、注力しているというわけでもありません。

IT全般で国民を取り締まるための技術の開発が猛烈なスピードで進んでいます。

 

最近は、ブロックチェーンではありませんが、警察にARのメガネをつけさせて危険人物がいないのかを判別しているそうです。

北京郊外では実際にARグラスを警察にかけさせて普及させて行っています。

 

おそらく、ブロックチェーンに保存しておいた個人データと照合できるようになっていくでしょう。

動画の中ではこのようなARグラスを装着します。

 

人の顔を見ると機械学習の処理で顔データを採取してデータベースの顔情報と照合します。

 

そして免許証の情報と比較してマッチ率を確認することもできます。

 

ただ、個人の識別はなかなか簡単ではありません。なぜかといえば、あらゆる角度や背景から個人の写真のたくさんのデータが必要なはずです。

 

もし、国民全員をこれで識別できるとすれば、ある程度の高画質な監視カメラで個人データを掻き集めていないと現状は難しいんじゃないかと思います。

 

ただ、メディアに露出するジャーナリストなどはすぐに顔が特定されてしまうと思います。

政治犯やジャーナリスト、反政府の人などを取り締まるために使われていくようです。

実際に身元が不明の旅行者を26人を逮捕したそうです。

 

何れにしても、技術が進めばさらに容易に誰でも個人判定できるようになることが考えられます。

 

中国とブロックチェーン まとめ

 

中国はブロックチェーンに関しては”国が検閲できるように”進んでいるようです。

一方で紙幣が逃げ出すようなプロジェクトは今後も締め出していくことでしょう。

 

これは果たしてテクノロジーによって豊かにする社会なのでしょうか。いろいろと意見が分かれそうですね。

中国はこれから世界の中でも様々なユースケースを世界に発信していきそうです。

 

ただし、最低限はブロックチェーンについての仕組みを理解していないと、中国や他のプロジェクトがどのようにブロックチェーンの未来に影響を与えるのかわからないと思います。

 

新しい情報を拾っていくためには重要ですので、まだ、わかっているようで仕組みが分からないという人は ブロックチェーンとは ~やさしく仕組みを覚えて仮想通貨を楽しむ~を読んでぜひ復習してみてください。

 

ただし、企業的な方法でのブロックチェーンの導入に関しては間違いなく世界でリーダーシップを発揮していると思います。

アメリカの政府機関ですら中国を参考にブロックチェーンの導入を行っていくのではないでしょうか。

 

今後の世界の動きも中国を抜きでは語れません。