
どうも、私は今、エストニアに滞在しています。エストニアといえば国家レベルでブロックチェーンを導入している世界初の国です。
2007年にブロックチェーン(KSIブロックチェーン)の導入が試験的に行われていて、これはビットコインが誕生する前に行われています。
さて、そんな私ですがブロックチェーンの未来についてはやはり興味が尽きなくて、過去にブロックチェーンに関する記事はいくつか書いてきました。
例えば、ブロックチェーンで地域活性化 ブロックチェーンを海外の応用事例から見るでは海外でリアルの世界での実用例について調べて書いています。
ブロックチェーンといえば分散型社会を拡散するための技術だとして世間を賑わせていますね。
一方でブロックチェーンは「単なる台帳システム」として説明されています。これも事実です。
台帳といえば帳簿と変わりません。デジタルな帳簿と表現すると世界を変える技術にしてはショボい響きになってしまいました。
では、なぜ「単なる台帳システム」社会を変えていき、実際にどのような社会が到来するかもしれないのかを解説したいと思います。
この記事では社会を変え得る世界の中でも3種類の具体例に絞って解説したいと思います。
また、ただ文字で紹介するだけではイメージが湧かないと思うので、ブロックチェーンが普及した先を表現していそうなオススメの作品も紹介したいと思います。
ちなみに、ブロックチェーンの仕組みがそもそも分からないよという人は ブロックチェーンとは ~やさしく仕組みを覚えて仮想通貨を楽しむ~ という記事を読むと全体像がわかるようになりますよ。
草猫店長の目次ノート

ブロックチェーンは社会をどう変えうるのか 結論
ブロックチェーンは社会をどのように変えるのでしょうか。
結論としては「世界の人の価値観を変える」と思っています。
これだけだとフワフワしすぎていると思うので3つの視点から解説したいと思います。
❷. ブロックチェーン国家の台頭
❸. トークンエコノミーによる紙幣のない世界
スタンフォードの調査によると、ブロックチェーンの現状の活用されている業界のトップ3は1位が健康、2位が金融系で3位が自然やエネルギー関連だそうです。
実際、医療系のプロジェクトと不動産のプロジェクトなどはちょくちょく見かけますね。
物流世界の変革
ブロックチェーンが普及すると物流の世界が変わります。
特に貨物船などの国際的なコミュニケーションがたくさんあり、手続きも多い割にはデジタル化していない世界なので効率化が一気に進みます。
日常生活で貨物船や貨物フライトが早く到着するメリットはもちろん大きいです。それにトラックの運搬などの効率化をブロックチェーンで推し進めるとさらにメリットは大きくなります。
国際的な商品も含めて到着までの時間が短くなるのは間違いありません。
引越しの時に1日で欲しい家具が全部揃えられるようになっていきます。送料も安くなります。
盗難による正体不明の紛失などもなくなりますし、トラックのスペースを100%有効活用できるようになれば環境汚染を防ぐことにもつながります。
もっと早く、安く、確実に商品が届くようになる世界が訪れます。
物の移動がラクになると革新的なプロダクトが普及しやすくなります。
例えば、ポートランド在住のデザイナーが3Dプリンターで作ったものを買いたい人がいたら1週間でプロトタイプを発送できたりとかですね。
物の移動の時間がなくなるとリモートのプロダクトデザイナーなんて人も現れるかもしれませんね。
ブロックチェーン物流の将来性については100兆円超「 ブロックチェーンの物流業界 」は限りなく透明に近い物流かでより詳しく書いています。
農業も変わる
物流というのは当然、商品の流通なども含まれています。
特に農業は大きく変わると言われています。例えば最近は有機栽培という言葉が流行っています。
イメージとしては有害な農薬を使っていなくて自然な育て方をしている野菜をしてしまいます。
ですが蓋をあけてみると有機的な肥料を使っただけで有害な農薬を使っていて、無農薬からは程遠い野菜も少なくありません。
一般の消費者からどれがマトモな有機野菜かなんて確かめようがありませんよね。
かといって土の状態を逐一でデータ採取してトラックに積まれていくつかの中継地点を渡って行ってというのを集めるなんてできません。
農家の仕事は本当に大変ですからね。
ですが、ブロックチェーンが広く普及した未来では、そうした育成の記録とか土の状態を自動で管理してくれるようになります。
そうすることで消費者が知ることができる透明な情報が増えます。
どの農家が育てて何時何分にどのドライバーによって運ばれて、現地に到着したのかを誰でも見れるようになります。
ブロックチェーン国家の台頭
ブロックチェーン国家と読んでもいいですし、クリプト王国でも良いかもしれません。
理想主義者たちが集まった多くのビットコインを保有した人しか入れない土地とコミュニティができあがる見通しがあります。
と言うより、実際に話が進んでいます。
海上国家の計画
paypalマフィアを結成したのち、投資家へと転生しているピーターティールです。
ピーターティールはブロックチェーンを活用して海上に独立国家(クリプト フローティング アイランド)を建設しようと画策しています。

ピーターティールが海上国家を建設してやりたいことは、実験だと思います。
リバタリアンとして名を馳せているピーターティールが思う個人が政治の圧力から解放されて自由になるような枠組みを作って、国がどうなるのかを確かめてみたいそうです。
実は、この話に関してはブロックチェーンが有名になる前から建国が進められていました。2011年から話が進んでいます。
建国する場所は最初はサンフランシスコの沖だったのですが、今は観光リゾート地であるタヒチ島のフランス領に建国するそうです。
世界では海上不動産なども研究されていて、実際に1戸1億以上する海上ハウスの60戸がすでに売れているそうです。

リバタリアンにとっての自由な国とは自立分散型社会であるでしょう。ブロックチェーンを取り入れて誰にも統治されない社会が生まれると思います。
建国は容易ではないでしょう。最初の住人は誰になるのでしょうか。
おそらくはグローバルに影響力のある人たちが住人になったり、資本力を持った人たちが集まることに思います。
0からブロックチェーンでシステムが周る社会もあれば、過去の支配されてしまった歴史の文脈に沿ってブロックチェーン
トークンエコノミーによる紙幣のない世界
トークンエコノミーでいうところのトークンとは、仮想通貨という意味です。
仮想通貨の中でもトークンの定義はおそらく曖昧なのですが、一般的には個人レベルで発行してみた仮想通貨の事をトークンと呼びます。
もしくは、既存のプラットフォームで生成した仮想通貨はトークンと呼ばれます。
例えばイーサリアムのERC20と呼ばれるプロトコルに従ってイーサリアム内で発行された仮想通貨はトークンと呼ばれています。
トークンは身の回りの人との価値の交換手段として発行されたりします。
例えばシェアハウスで積極的にお手伝いに参加してくれたらトークンを配布するとかです。
今はまだまだ使い勝手が悪いので利用ケースはほとんどありません。
ですがこれから、例えばですが手に埋め込んだマイクロチップをかざすだけでトークンを配布できたり、他人を喜ばせると、喜びを検出してポイントのようにトークンが溜まったりすることができるようになっていきます。
マジックが得意だったら他人を驚かせたらトークンが自然に入ってくるとかそういう世界観です。
この延長線にあるのがトークンエコノミーです。
一つの価値観を共有して価値観に近い行為を行った人がトークンをもらえる小さなコミュニティです。
ある意味、宗教に近くなっていくと思っています。
価値観って信条に近いことですからね。
物々交換とか演奏できる人の方が価値が高いと考える人の村があって、村に住むためには村人たちを手伝ったりしてトークンを集めないといけない。
そこで演奏したり特技を発表するとトークンがどんどん溜まっていく。
村に住むための基準を超えるトークンを持っていたらそこに住むことができるし、トークンのやり取りだけで生活ができる。
例えがトークンなくてもできそうではありますが、あくまで例えとして捉えてください笑
本当はもっと無意識にトークンを配ったりできるようになって行きます。トークンエコノミーの先にはこうした暮らし方が実現できるかと思います。
保有しているトークンがその人の生き方を表現するようになっていくかと思います。
ディストピア編 スコアと検閲化が行き過ぎた社会
刃物は人を助けるためにもなるし人を傷つけるためにもなるとよく漫画のセリフなどで囁かれていますよね。
ブロックチェーンも使い方によっては暮らしにくい社会になる可能性があります。
例えば中国のブロックチェーンの活用方法は国民を検閲するために実利用が進んでいるようです。
悪いことをしたと認識された国民は公共交通機関を利用できなくなったり、債務を何らかの事情で返済できなかった人はお金を全く借りれなくなったりです。
検閲にブロックチェーンやAIの技術が活用されていくと、例えばホームレスになろうにも監視カメラでホームレスであることを自動で検出されて寝る路上もないような世界になっていくと思います。
最近はウイグル自治区の人たちを目に見えない形で監視しているようです。
例えばAndroidのスマホ経由か何かで監視して暴動が起きないように監視しているようです。
AIやブロックチェーンを活用して怪しい声だけをデータベースに刻んでいたりするかもしれません(まあ考えすぎればいくらでも考えられますね汗)
日本にいると監視社会について意識することはないかもしれませんが、検閲するために普通の人が聞いたら引くようなことをやっている国はやっていると推測しています。
例えば、スマホの基盤に0と1の回路でできた盗聴回路を仕込んでおくことも可能だと思いますし実際にやっていると思います。
盗聴回路が仕込まれているか逆探知するにはコストがかかりすぎるので誰にも止めることはできません。
ブロックチェーンも国民を管理するために自動で国民格付けを可能にしようと思えばできてしまいます。
失敗して0になってしまった人は再起するための公共施設にアクセスできなくなるかもしれません。
このように政治の道具として利用されるマイナスな面もあるというのは知っておくべきだと思います。
ちょっと抽象的すぎますが、より具体的な話は【 中国とブロックチェーン 】規制と開拓のハザマで急成長する中国で解説しています。
ブロックチェーンの未来に近いSF作品
ブロックチェーンによってもたらされる社会についてはだいたい見えましたでしょうか。
ブロックチェーンが普及した未来ではおそらく「個人のスコア化」は止められないと思います。
先ほどの中国の話ではないですが、使い方はわかりませんが個人の信用や、思想的な危険度とか、やってきたことを点数化して自動的になるのは人口が減っていく先進国では避けられないことかもしれません。
ブロックチェーンは意識していなくても、そうした未来について描かれた作品はあるのでサラッと紹介してみます。
犯罪をスコア化 本当の正義とは何かを問うアニメ PSYCHO-PASS
「俺なんて、5歳でサイコパス検診にはじかれて以来ずーっと潜在犯だぜ」pic.twitter.com/kOEMwcHbsJ
— 究極のPSYCHO-PASS非公式委員会 (@psychopass01) 2018年10月11日
犯罪係数の高い人は殺されてしまう世界観の中で本当の正義とは何かについて視聴者に考えさせながらストーリーが進むアニメです。
1期と2期に放映されました。
スコア化やコンピューターに支配された優しい世界の葛藤を描く ハーモニー

伊藤計劃のハーモニーです。
スコア化されて人は数値に管理されています。お互いが正常な数値を保つためにお互い同士が優しさにまみれ、優しくあることが合理的になりすぎた社会を描いています。
自分の身体に悪いことを自分で選べない世界に登場人物が一石を投じようとしています。
2時間くらいのアニメ映画にもなっているので時間がない人はそちらも良いかと思います。
経済圏を描いた小説 アンダーグラウンド・マーケット

まさに仮想通貨を題材にしています。
底辺の世界から抜け出すために電子マネーを使われて行きます。
他にもいろいろあるので、別の記事で詳しく紹介できるようにしたいと思います。
ブロックチェーンで社会はどう変わるのか まとめ

ブロックチェーンの影響力はもうすでに世界は無視できなくなりました。
これからは国がブロックチェーンとうまく肩を並べて付き合っていくのか、断固として受け入れないようにするのかで未来が大きく変わると思われます。
一方で、ブロックチェーンはこれだけ世の中を変えるんだ!といいつつも、ブロックチェーンを開発した人たちが望んでいた「非中央集権化の社会」の到来はまだまだ遠いようです。
その理由は既存のブロックチェーンでは「非中央集権化の社会」の実現が難しいからです。
そこのところについては 【 ブロックチェーンの本質 】インターネットを継ぐものでブロックチェーンの本当の価値はどこにあるのかについて解説しています。
また、この記事を読んでブロックチェーンの仕組みについて知りたい!と思った人は ブロックチェーンとは ~やさしく仕組みを覚えて仮想通貨を楽しむ~ という記事を読むと全体像がわかるようになりますよ。
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