「通貨が分裂するってそれって偽造と一緒じゃないの?通貨がコピーできたらそれって通貨と呼べない気がする。分裂が実際に意味するところについて知りたいなあ」
今回はそんなことを考えている人に向けて ビットコイン分裂の真意 について解説したいと思います。
これまで一人で200記事以上、一年近くかけて仮想通貨に関する記事を更新してきました。
もともとブロックチェーンの技術や実現できる未来からこの世界に入った私目線からビットコインの分裂について語ってみたいと思います。
ビットコインで分裂といえばビットコインキャッシュがあげられると思います。
ビットコインキャッシュはビットコインよりも性能が高い仮想通貨です。ですがビットコインの時価総額を抜かすまでには至りませんでした。なぜでしょう?
今回はビットコインの分裂および仮想通貨の分裂がどうして起こるのかについて本質に近いところが理解できるように記事をまとめてみました。
草猫店長の目次ノート

統治(ガバナンス)に対する解決策がないから分裂する

原因の話です。分裂はどうして起こるのでしょうか。少し突飛なことに聞こえるかもしれませんが、理念に対する解釈の違いによって生じます。
実は意見の違いを一つにまとめるための設計はビットコインおよび他の仮想通貨にはありません。
理念に対する解釈の違い、と言いましたけどそもそも「理念とは何?」という話から必要ですね。
理念とはブロックチェーンについて調べていたらよく聞く「自立分散型の社会」のことです。政府を持たない社会の実現ですね。
もともと仮想通貨で初めて作られたビットコインはリバタリアン(自由主義者)や社会的な抑圧に対して不満を覚えていた人たちの共感によってサトシナカモトの論文内容を改善していきリリースされました。
詳しくは「デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語」という書籍に乗っています。
ただし、仮想通貨を一緒に作った人たちはもともと政治活動をしていた類の人ではないというのは付け足しておきます。それと、他にも近未来SF好きなオタクもいれば、投資家にも目をつけられていました。
政府や組織に可能性を奪われないで、自己実現を簡単にしてくれる社会を望んで具体的な最初の手段としてビットコインが登場したというこです。
結果として世界に広まったわけですが、世界での取引件数が増えるに連れて処理を捌けなくなってしまい性能に対して限界が訪れてしまいました。
分散型社会といえば聞こえは良いですし、実際にビットコインは中央機関が存在しないシステムとして動いています。
ですがスマホやパソコンと同様に、世界のニーズに対して性能が衰えた際に「誰がバージョンアップするの?」ってそこまで遠くの見方、メタ視点での設計はなされていませんでした。
結局、「誰がバージョンアップするの?」に対する答えは力を持った人間同士での議論になってしまい、意見が交わることなく分裂が生まれてしまいました。
つまり、統治(ガバナンス)ができないから起こるんですね。
性能を変えることは理念に触れること
2017年度のバブル期はひどいタイミングで1回の送金に2000円近くの送金手数料が必要でした。
仕様から見た原因は「容量不足」でした。10分間のうちに保存できる取引件数が3000件未満でした。
ここで「容量不足」を一番簡単に解消できる方法は分裂です。
後ほども詳しく解説しますけど分裂とはアップデートの手段です。仕様をアップデートさせればそれで済みます。
これが人工知能の集団だったら一番合理的だという理由ですぐにアップデートできたと思います。
ですが、ビットコインの場合は「誰にも縛られない社会の実現のために作られた仮想通貨」という意味合いがあり人間の数だけものの見方があります。
同じサトシナカモト(ビットコインの父)の思想をリスペクトしている人たちであっても、少し機能を変更すれば価値がなくなると考える人もいました。
一方でサトシナカモトの思想をリスペクトしているからこそ時勢に応じて大胆にアップデートすべきだと考える人もでてきました。
多様な人たちが集まりがちなブロックチェーンだからこそ意見が分かれてしまいます。
ビットコインの性能を高めるだけでもかなり意見が分かれてしまいました。
結局、無理やり変えるしかなかった
ビットコインの分裂に至っては無理やり変えるしかありませんでした。
何せ2017年に採用されたSegwitが実装されるまではトランザクションIDの改ざんができるような状況でした。トランザクションIDの改ざんは人を騙して二重支払いを可能にする要因です。
ですが、統一見解を得るためには時間がかかりすぎてしまったので、結局、革新派と保守派のような対立構造で決着がつきました。
ビットコインを分裂させる代わりにこっちへ関わるな。という感じでしょうか。
分裂は専門用語でハードフォーク(ソフトフォーク)と呼ぶ

「分裂」という言葉は主に初心者の人に向けて使われる言葉です。議論をするときに呼ばれる言葉を覚えておいて損はしません。
「分裂」のことをハードフォークと呼びます。またはソフトフォークと言います。
ハードフォーク→設計や仕様そのものを変更する仮想通貨の分裂
ソフトフォーク→もともと設計や仕様に残されていた拡張性を利用した仮想通貨の分裂
どちらも同じ「分裂」です。
ビットコインを積極的にアップデートしていこう!と言っている人たちは「ハードフォーク」を提案しました。そうして生まれた通貨がビットコインキャッシュです。
ビットコインを極力変更しないでおこう!と言っている人たちは「ソフトフォーク」を提案しました。そうして生まれた技術がSegwitです。

ハードフォークについてもう少しきちんと知りたい!という人はハードフォークとは 仮想通貨の分裂はロックバンドみたいなものでハードフォーク目線で解説している記事があります。
分裂ばかりしてお金をコピーできる点が信用ならないという人へ
「意見が対立して政治的に分裂することはわかったけど意図的に派閥を作って行けばいくらでもお金をコピーできるんじゃないの?」
「意見の対立とか何もかもとりあえず無視して分裂しまくれば通貨を生み出しまくれるんじゃないの?」
政治的な話を抜きにしてこのような意見もあると思うので解説しておきます。
まず、仮想通貨でワケのわからない人たちがビットコインを分裂させたところで紙幣と交換できるようになるわけではありません。
ビットコインが1万回、分裂したところで紙幣と交換してくれる場所になければ意味がないということです。
もう少し具体的にいえば仮想通貨の取引所が扱いたくなるような通貨でないと紙幣と交換ができないということですね。
自分が両替所の店長をやっていて、聞いたことのない民族のお金を持ってこられても困るわけです。
最初はノーと言いますよね。それは当然で相手は「これはこういうことができる通貨で、何人の人が利用してくれていて、こういった利用に実際に使われています」と説得してくれて初めて採用を検討するというものです。
まともな通貨だったら有名な開発者がアドバイザーを務めてくれたりもしてくれるものなので説得材料がありますが、お金目的で作られたような通貨だと取引所に上場はできません。
もちろん、限りなくグレーなかおりが漂う取引所も中にはあって有名な取引所だとまず扱わないような通貨が扱われていたりしますが例外です。割合はほんの少しです。
要するにお金を無限コピーして大儲けしようという浅はかな考えの人が作ってもだいたいは無意味ということです。そこは分裂における問題点ではありません。
もし仮想通貨の取引きに興味を持った人はあなたに最適な取引所 仮想通貨の初心者におすすめの取引所で人にあったおすすめの取引所を紹介しています。
でも分裂しすぎることは問題
誰が分裂しようが誰にも注目されない仮想通貨だったらそもそも取引所に上場しないから大丈夫。と言いました。
一方でそれなりに意味を持つものであれば分裂しまくれば良いのかといえばそうでもありません。
分裂しすぎることによってデメリットが最低でも2つあります。
❷. ハッシュパワーが減ってしまう
大まかにいえばこの2点でデメリットがあります。それぞれ解説します。
❶. 通貨がイメージダウンする
通貨がイメージダウンするとはどういうことでしょうか。
これは「お金」とはそもそも何?という哲学的な話にも近づきます。
簡単にいうと「お金」とは「お金」を「お金」であるとみんなが信じてやまないものが「お金」となります。
要するに「お金と信じられるもの」、別の言い方をすれば「お金だと共通認識を持たれているもの」がお金になります。
紙幣がない時代に貝殻や石、はたまた食料が「お金」として機能していたのはみなさんがご存じの通りです。
ビットコインという通貨も「お金」と認める人が大勢いるので実際に価値を持っているということです。
前置きはさておき、そんなビットコインがなぜ分裂しすぎるとイメージがダウンしてしまうのでしょうか?
1. どの通貨が正しいのかわからなくなる。
2.お金がコピーできるという印象を与えてしまう。
まともな通貨が分裂をするというのはそれなりに意味があって行われます。
ビットコインなんて暇つぶしで扱ってるよ!という層にとってはより安全に使えて便利な通貨の方が良いです。
ですが人によっては安全だとか危険だとか偽物だという意見が交差して「ビットコイン」そのものを通貨として認識しづらくなります。
お金がコピーできるという印象に対してもそうで、実際にはコピー目的で分裂できるほどワキが甘いわけではありません。
ですが、たまに仮想通貨について話題を聞くくらいの人たちにとって「そんなもん知らない」というものです。
変な噂が立ってイメージが悪くなりますよね。
奈良時代の場合なんて、リアル劣化ハードフォークの連続でした。素材不足でなんども純度の低い通貨が流通しました。
結果として米が「お金」として市民の間でやり取りされてしまう羽目になりました。
悪いハードフォークは「紙幣」への揺り戻しになってしまうかもしれませんね。
❷. ハッシュパワーが減ってしまう
ビットコインや有名な仮想通貨で採用されているブロックチェーンを支える技術としてPoW(プルーフオブワーク)と呼ばれるものがあります。
元気玉は いつみても凄い‼️ pic.twitter.com/yb3j9wAlXV
— ひろ (@0nK941SGv2x8hVw) 2018年10月9日
これは、世界中からハッシュパワーと呼ばれる計算能力をドラゴンボールの元気玉のようにかき集めて送金した取引記録を記録付けるための仕組みです。
元気玉は大きなほど強力ですよね。ビットコインでも同様にハッシュパワーが大きなほどハッキングに合う可能性が減ります。
悪意のある人の力が半分以上になってしまうとブロックチェーンの仕様に則って取引履歴を1件、改ざんすることができてしまいます。
専門用語で「51%攻撃」と呼びます。
なんでハッシュパワーがあったらブロックチェーンを改ざんできてしまうの!と納得できないなあという人は手順つきで解説した51%攻撃(アタック)とは 図解で51%攻撃の仕組みと対策方法と手順を解説を読んでみてください。
要するに、仮想通貨が分裂(ハードフォーク)し過ぎてしますと、パワーも分裂していくのでハッシュパワーが小さくなってしまいます。
それは悪意を持った人にとっては好都合というワケですね。
実際にビットコインから分裂(ハードフォーク)したビットコインゴールドはハッシュパワーが小さすぎて51%の餌食になりました。
解決策は図られているから期待(ガバナンストークンの登場)
最近はガバナンストークンと呼ばれるものも登場しています。
従来までの意見の総意が得られない問題を解決していくものと思います。
まだ、登場したばかりで用語もあまり普及していません。
この記事では深堀しませんが、解決策としてのものも登場しているということだけ知っておけば良いかと思います。
コミュニティの数だけ分裂はあり
ハードフォークとは 仮想通貨の分裂はロックバンドみたいなものでも解説していますが、仮想通貨の分裂は宗教の派閥ににているものがあります。
キリスト教からいろいろな派閥が生まれてプロテスタントという言葉も生まれましたが、教えの解釈によって組織が分裂しています。
人間が辿った道を仮想通貨も猛スピードで辿っているだけで自然なことなのかもしれません。
人の数だけ考えはあると言われていますが、ブロックチェーンの本来の価値は、自分の居場所や生きやすい暮らしを実現することに真価があります。
ですので価値観の数だけ分裂があっても良いと思っています。
ここら辺については人によって意見が変わると思いますが、私の思うブロックチェーンの本質とは何かについては【 ブロックチェーンの本質 】インターネットを継ぐもので解説しています。
人によっては「非中央集権」こそがブロックチェーンの価値だという人もいますが、今のところはそうではないと思っています。
興味があれば読んでみてください。
あくまで分裂のしすぎによるハッシュパワーの低下とかイメージダウンを考えない理想的な話ですけどね。
ビットコインの分裂の真意 まとめ

ビットコインの分裂は単なる通貨の分裂でお金もうけしよう!というものではないことは理解できましたでしょうか。
ビットコインや仮想通貨の見えない落とし穴だったのは開発目線でのガバナンスでした。
一度作ればもうあとは永久的に手を触れなくても大丈夫!という代物ではなかったんですね。
これからも他の仮想通貨が分裂して行って混乱していく可能性があるかと思いますが、何のために分裂しているのかと、どういった派閥構造が生まれているのか調べてみると冷静に判断できるかもしれません。
こういった情報は日本語ではなかなか落ちていないのが辛いところですけどね。
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ブロックチェーンの仕組みについて興味を持った人はブロックチェーンとは ~やさしく仕組みを覚えて仮想通貨を楽しむ~でブロックチェーン全般の解説をしているので読めば理解は深まりますよ。
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