


中央集権型の仮想通貨取引所は周知のように人によって管理がなされている取引所になります。
実は、過去の大きなハッキング事件のほとんどは仮想通貨のシステムには問題がありませんでした。
問題があったのは人の管理方法でした。
人が管理を怠ってしまったが故のヒューマンエラーがほとんどの原因です。
ハッカーを題材にした有名な映画に「ピエロがお前を嘲笑う:原題 WHO AM I」があります。
この映画の中の天才青年ハッカーはシステムの欠陥ではなく人の小さな油断をついて大きな会社に侵入してハッキングに成功させていました。
いわゆる人の油断をついてハッキングをつく ” ソーシャルエンジニアリング ” という手法ですね。
人が介在する限りこの問題は永遠にイタチごっこになりそうです。
しかしブロックチェーンの技術のおかげで人を介在としない取引所がいくつか作られているので紹介しています。

DEXとは
DEXを翻訳すると分散型取引所になります。ブロックチェーンの技術でできているので自律分散型取引所と言っても良いかと思います。(その場合は英語で”Autonomous” Decentralized Exchanges)
今回はブロックチェーンの技術でできたDEXを前提にお話しをします。
また、今回のDEXの記事ではイーサリアムをベースに作られているDEXを想定して説明していきます。
トラストレスな取引所
DEXはトラストレス(信頼できる第三者がいなくても取引できます)です。
トラストレスでありながら中央集権型の取引所と同様のことを行う事ができます。
資産の預け入れと引き出しはもちろん、買手と売手も自動で最適化マッチングして取引を実行できます。
しかもDEXで売買された履歴はブロックチェーン上に半永久的に改ざんできない形でノード全体へ記録されていくため記録の改ざんなどの不正ができません。
攻撃に強い取引所
ノードの数だけサーバーがあるような状態です。
全てのノードが同じ台帳(資産の動きの履歴)をシェアしているためノードを一つ潰されたところで資産が消えることはありえません。

ノードが大きい程、よりセキュアになり、全体へのダメージは大きくありません。
DEXと中央集権型取引所との違い

大まかな違いは上の図のようになっています。
資産と情報の管理
コインチェック社はハッキング当時、顧客のNEM資産をコインチェック社専用のNEMアドレスの一箇所へまとめて管理していました。
社内の重要人物だけが秘密鍵(パスワード)を握っていたはずですが、何らかの形でバレてハッキングされてしまいました。
このように中央集権型の取引所の場合は取引所自体が顧客の資産をまとめて管理しています。
もちろん取引所内で分散させて管理させることもできますしほとんどの取引所はそのように盗難リスク対策を取っているのが一般的かと思います。
ただし顧客からは実際の管理状況についてはブラックボックスとなっていますし、管理状況をオープンにすることはセキュリティの観点上、難しいと思われます。
一方でDEXはブロックチェーン上に資産のやり取りが記録されていく形で管理されており、顧客のアカウントをハッキングするか、ブロックチェーンの記録自体を改ざんしない限りハッキングできません。
もちろんブロックチェーンの記録を改ざんすることは非常に難易度が高く理論上は不可能に近いです。
DEXのメリットデメリット
メリット編
❷政治的に安定
❸破綻しない
❹不正できない
技術的にセキュア
DEX分野は世界トップクラスの技術者達が2017年度より積極的に開発を進めているようです。
DEXでハッカーが大金を盗もうとすればブロックチェーン上の履歴を改ざんする必要があります。
ビットコインと同様に困難極めます。
政治的に安定
また、政治の介入によってシャットダウンさせることはできません。
中国では度々、中央集権型の取引所が規制されています。時勢に左右されない強さがあります。
DEXは世界中でノードが立ち上がってシステムが自律的に動いているため一度大規模に動き出せばどこかの国が規制を張って止めることはできません。
破綻しない
突然、取引所の都合で閉鎖してしまいシステムを制限されてお金が引き出せくなるということは起きません。
不正できない
こんな事例があります。
❷「半年経って送金が反映されてた」
❸「送金の許可を手動で行っているらしい」
中国のマイナーな中央集権型の取引所では❶や❷の出来事も少なくありません。
この場合は誰にも知られずにひっそりと持ち前のコインが消え去ってしまい、ツイッターでひっそりと無くなったと呟いて終わりとなってしまったりしています。
小さな取引所では❸の噂はよくあるようです。
実際にADKという通貨は独自の取引所のセキュリティ管理が杜撰だったためオープン直後に資金が逃げそうになりました。
ですが手動で送金認可を取っていたためすぐには出金できませんでした。
私の友人も資金が1週間ほど閉じ込められていました。
もちろん手動であることは事前に通知されていませんでした。
このように、法整備も整っているわけではないため、
ハッキリと不正とは言えませんが、取引所に有利となるようなグレーな独自仕様で運営されている取引所も少なくありません。
ユーザーにとってはただのブラックボックスです。
しかし分散型取引所であれば予め決められたルールに則って自動でシステムが作動するため透明性が高いです。
そのためグレーな方法で資産を閉じ込められたり個人のミス以外で謎の消失の心配もないです(あるとすれば元の仕組みがおかしいです)
デメリット編
❷手数料が煩わしい
❸自己責任
情報量が少ない
DEXに関する全体的な情報量が少ないです。
利用者がまだまだ少ないためだと思います。
しかし数々の中央集権型の仮想通貨取引所がハッキングに遭遇している事実があります。
それを考えるとその辺の取引所に保管しているよりも分散型取引所の方が良い選択だと思います。
中央集権型の取引所ですらまだ歴史が浅いです。
そのため、本格的に学びたいのであれば英語の記事を参考にしていく必要があります。
日本語の情報も当然少ないです。
有名な取引所でも基本的に英語のDEXがメインです。
手数料が煩わしい
イーサリアムの場合は約束された出来事を達成する度にGASという名のマイナーへの手数料が発生します。
当然、イーサリアムをベースに設立されたDEXの利用にはGASが必要です。
GASは簡単に言うとスマートコントラクトの手数料です。
資産を引き出したり売買する毎にかかる手数料になります。
お金が移動したり、移動したことを利用者に伝えるために、動作の度にGAS手数料が必要になります。
従来のWebサービスであれば無料であった場面でも小さいですが手数料がかかるので、その点は感覚が慣れるまで煩わしいかもしれません。
スマートコントラクトがそもそも何かわからない方もいるかと思います。そうした方へしたの記事をおすすめしています。
スマートコントラクトを知りたい方向け記事
有名なDEXタイプの取引所EtherDeltaの場合の2018年2月確認での手数料は以下の通りになります。
トランザクション | GAS料金 |
---|---|
イーサリアムを預ける | ~0.0003 ETH |
イーサリアムを引き出す | ~0.0001 ETH |
仮想通貨を預ける | ~0.0001 ETH |
仮想通貨を引き出す | ~0.0002 ETH |
売買する | ~0.0003 ETH |
取引キャンセル | ~0.0002 ETH |
仮に10万円/ETHであれば、0.0001ETH = 10円です。
EtherDeltaの場合はスプレッド手数料に0.3%がかかります。
仮想通貨を売買する場合はGAS(0.0003ETH) + スプレッド0.3%が合計手数料になります

自己責任
中央集権型の取引所でも不祥事が起こればユーザーへの対応は基本的に自己責任のスタンスですが、DEXになると更に自己責任スタイルが強まります。
これから中央集権型の取引所は保険が整っていくかと思われます。
もし、保険が整っていたとして顧客が防ぎようのなかったハッキング被害を受けた場合、中央集権型の取引所であれば顧客は補償してもらえるでしょう。
しかしDEXの場合は誰もそのような権限を持った人がそもそもいないため誰からも補償を受けることができません。
ハッキングされたら終わりです。

DEXが流行り始めたら中央集権型の取引所が差別化しようとしてサービスを手厚くする可能性はあるかもにゃ〜
処理速度が遅い
処理が短い時間に集中してしまうと処理が遅くなることがあります。
ビットコインで処理が集中し過ぎて送金に時間がかかったような経験はありませんでしたでしょうか。

おすすめのDEX取引所3選
使いやすさ1位

Cryptobridgeは珍しく日本語対応可のDEXです。操作も比較的わかりやすいです。MONAやXPやDASHコインなども取り扱っています

バラエティ1位

DEX分野では有名みたいです。イーサリアムがベースの取引所です。
取り扱い銘柄数が非常に多いです。簡単に数えてみたところ650種類以上の取り扱いがありました。ただしこれらはイーサリアムから誕生したトークンがメインになります。
デメリットとしては参入者が少ないため売りたくても売れないような銘柄も数百種類と混じっています。バラエティ豊富なのは間違いありません。
ブランド1位

bitsharesのサービスの一つです。世界初のDEXらしく、bitsharesの知名度も高いためブランド力はNo1だと思いました。bitsharesのコインBTSを基盤に作られています。
取引所自体のデメリット
最後に、分散型にしろ中央集権型にしろ取引所に資産を預ける限りネットワークに資産を晒し続けることになります。
ネットワークに資産が晒されている限り不特定多数の人が何らかのきっかけでアクセスすることが可能となってしまうため盗難リスクは常に0ではありません。
そして取引所はまだまだ実験段階の仕組みで成り立っています。
当然、理論上は100%安全であっても抜け穴があればこれからもハッキング事件は続いていくでしょう。
多少、手間がかかってもしっかり守っていくスタンスであれば
DEX + ハードウォレット + ペーパーウォレット
をそれぞれ使って複数の場所に資産を分割して長期で預けて置くと良いかと思います。

イーサリアムが購入出来る国内取引所
分散型取引所(DEX)とは まとめ
「 分散型取引所(DEX)とは 」何かについて解説していきました。
従来の取引所と違い人が管理していないため ” ソーシャルエンジニアリング ” によるハッキングはほとんど無くなっていくでしょう。
とはいえ、まだ出てきたばかりの取引所でもありますので 100パーセント 手放しで安全とは言い難いです。
問題が表に出ていないだけかもしれませんので。
たとえそれであっても従来の取引所よりも安全である可能性の方が高いのかなというのが筆者の見立てになります。
なお、仮想通貨の安全管理に関しては下の記事で幅広く解説しているので参考にしてみください。
良い仮想通貨ライフを送ってもらえればと思います。
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