「 私たちはミリオネアなのに貧しい国です。(We are millionaire, but We are poor.) 」
ハイパーインフレのニュースでベネズエラの名前が度々起こりますが、加速度的にひどくなっていっています。
一時期、国が率先して暗号資産のICOとして石油を担保にしたペトロで資金調達しました。
ベネズエラが酷くなった経緯と今後の動きが分かるようにまとめました。ペトロについても触れています。
草猫店長の目次ノート
ベネズエラの惨状
・動物園の動物同士が共食いしたり、飼育動物をエサにして動物の飢え死にしないようにする(90%の動物が死んだとのこと)
・むしろ国民の食料がなさすぎて国民が動物園の動物を盗難して食べていると言われる
・腐った肉を買い求めるために列をつくる
・国民の月給が4ドルでお米1kgの値段が4ドル
・10%の国民が海外逃亡
・生産できる豊かな土地や資源はあるのにインフレのせいで道具が買えない
・100万人の子供が教育を受けられていない
・カラカスでは治安の悪さNo1と言われ、1万人につき9人が殺人を犯している
・2018年度のGDPはマイナス18%
・海外から借りた負債は1570億ドル超えのGDP3倍
原油生産国として中南米の中ではもっとも豊かだと言われていたベネズエラです。
マドゥロ大統領が2013年に就任する前までは、前大統領のチャペルは原油価格が高騰の波に乗り政府はお金のバラマキ政策を調子に乗ってやっていきました。
実際、失業率が低下して国民の生活は表面上は良くなっていきました。
しかし、豊かな資源を持っているのに、政府の出費は激しく世界中から1060億ドルの国債を発行しています。
そしてマドゥロが就任した2014年に石油価格は100ドルから2016年には33ドルに低下。GDPの半分は石油の輸出だったので経済的に大きなダメージを受けます。
IMFは2019年末までに直近の累計でインフレ率が1000万%になる可能性があると公表しています。
フェイクだとか誇張だとかメディア攻撃だという人もいますが、1000万%どころか物価が1000万倍を超えるインフレの事例は過去にいくつもあります。
【 世界のハイパーインフレ歴史 】酷い順に並べ替えてみた【 12カ国 】で100垓%を超える例もあります。
経済悪化を加速させる大統領マドゥロ
・基本的に誰かのせいにする
・まともな議員を排除して汚職を加速させる
・中国からしこたま借金する
・2016年は大量にお札を刷ってインフレを加速させる
・2018年の再選挙で野党側の人を投獄して再選挙で当選する
・2019年2月にお隣のコロンビアと外交遮断したり、金29トンをアラブに売却する
給付されるパスタや牛乳などでは足りません。
しかも汚職を象徴するかのように、給付するための食料は賞味期限切れのもので利ざやを抜いています。
ゴミを漁ったり、腐った肉を買うために並んだり、ブツブツ交換で飢えを凌いでいるベネズエラの人たちです。
一方でマドゥロに近い人間は良い車に乗って良い生活を送り、汚職であぶく銭を得ています。
マドゥロ大統領の二人の甥はかつてコカイン密輸で逮捕されていますが、汚職を許してしまっています。
おそらくコカインの欧米への輸出も不景気に伴って盛んになっているのではないでしょうか。
例えば、軍の求心力をコカインの利権を引き渡すこととの交換条件で引き寄せているそうです。
豊富な資源もあり、無駄な歳出を抑えて、資源にばかり頼らない政策を打ち出していけば少なくともハイパーインフレにはならなかったかもしれません。
しかしマドゥロに至っては逆に中国から債務を繰り返していきます。
毎年、中国から借金を加速させていき合計で600億ドルの債務になってしまいました。石油を担保にして借りていたそうです。
国民は生きるか死ぬかのリアル北斗の拳に近づいている中で返済できる金額ではありません。
むしろGDPはマドゥロが就任した次年度から毎年マイナスです。世界銀行の予測によると2019年のGDP予想はマイナス25%になるそうです。
中国もバブル崩壊の危機に晒されている
マドゥロは度々、中国からお金を借りていき、年々増加して600億ドルを合計で借りました。
中国もここまで酷くなるとは見ていなかったようで、600億ドルの不良債権を得たようなものです。
(一帯一路と呼ばれる今の所うまくいっていない鉄道インフラに使う石油を提供する予定だったと思われます。)
国全体でおよそ9700兆円の債務のある中国からすると微々たるものかもしれませんが、とにかくジリ貧になってきている中国。
不景気への影響はあるかと思います。
ベネズエラとジンバブエ
2つの国に共通するのは歴史に残るハイパーインフレであるところと、社会主義で独裁政権というポイントです。
ジンバブエのムガベもなかなか酷いです。
例えば白人の土地を強制的に黒人に与えたり、外資系企業の過半数の株を国に強制的に渡すようにしたり、ジャイアンがそのまま大統領になったかのような行動をとります。
お金がなくなったらお札を刷ってインフレを加速させ、インフレのせいで商売上がったりなのに無理やりモノを安値で売らせようとしたりでめちゃめちゃです。
そしてベネズエラと同様に独裁政権によってハイパーインフレが引き起こされました。
それを象徴するかのように100兆ジンバブエドルが発行されています。
酷い時期は、1日寝て起きたら物価が2倍になっていることが一月続いていました。
ベネズエラも社会主義でそして独裁政権によって、経済が破綻させられました。
少しそれますが、ルーマニアのチャウシェスクといい、カンボジアのポルポトといい、社会主義の国では独裁政権が多いですね汗
石油を担保にした暗号資産ペトロを発行
石油を担保に中国から借金したと思ったら、今度は石油を担保に暗号資産に手を出しました。
いわゆる、ICOと呼ばれる、2017年度に流行った仮想通貨の資金調達手段です。
2018年2月にプレセールを行って5336億円の調達に成功したそうです。
機関投資家には60%で交換していたそうです。
しかし現在は新しい情報が入ってきません。どうなったのでしょうか。最近はインフレの影響で石油の採掘量はどんどん減っていっています。
そればかりか、味をしめたのか今度は金を担保にしたペトロゴールドを今度は発行しようとしています。
しかしゴールドはというと29トンをアラブへ送金して売却を進めています。

欧米諸国から支持される暫定大統領の誕生
野党のグアイド国会議長からはアメリカをバックにした野党が「暫定大統領」の宣言をしました。
グアイド氏はベネズエラの最高裁から15年の公職停止処分を受けましたが、アメリカの力によって却下されています。
アメリカ側はベネズエラの石油の利権が中国に渡ったり、ベネズエラの治安悪化のとばっちりを受けたりすることを見過ごせないため、グアイド氏をこれからもプッシュすると思われます。
マドゥロ大統領と前大統領のチャベルは反米主義を通していましたし、グアイド氏をこのまま支持していきそうです。
腐敗にまみれたベネズエラとハイパーインフレまで まとめ

・ハイパーインフレ率1000万%は全然ありえそう
・マドゥロ大統領は可能な限り権力行使でなんでもやりそう
・国民はもうしばらく苦しみそう
ベネズエラは豊かな大地、資源、気候を備えていてただそれらを有効活用するだけで他の国と差をつけることができそうな国です。
それをたった一人の大統領が暴走するだけで北斗の拳になる可能性もあるのは恐ろしいことですね。
今、世界全体で経済が不安になってきています。
理由としては現在の信用創造(生産性を担保にしてお金を生み出す仕組み)では金利の分だけ複利で存在しない分のお金が上乗せされていき、世界中が借金まみれになるからです。
現実として世界の負債総額は2京4000億円で世界中のGDPの3倍です。
特に経済成長のために自転車操業のように負債を負債で返済してきた中国は9700兆円の負債を抱えています。
中国の現状については中国バブル崩壊しない理由とする理由を網羅してまとめて見たの記事を読んでみてください。
仮想通貨(暗号資産)の存在は、お金について考えるのにうってつけです。
仮想通貨がおもちゃのようで怖い、という人も、「 ビットコインの価値の裏付け 」仮想通貨のビットコインと価値の源泉をよかったら読んでみてください。
良かったらシェアしてね♪ /