MMT理論(現代貨幣理論)でよくある批判をまとめてみた

「 MMT( Modern Monetary Theory )に則れば財政赤字でもへっちゃららしい。でも怪しいな。話題になっているけれど、何か欠点や欠陥、そうした争点見たいのはないのかな 」

という人へ向けてMMTに対してよくある批判とMMTの姿勢についてまとめて見ました。

 

この記事に載せている批判と反論の具体例は、全体の中のほんの一部です。MMTの人たちと一口にいっても色んな種類の人がいるようで、簡単に一括りにできないややこしいところもあります。

その上で参考にしてみてください。

 

MMT批判をまとめて見た

MMT批判あるある

①MMTはお金を無限には発行できるトンデモ理論である

②MMTを採用すると無税でも国が成り立つがハイパーインフレが起こる

③中央銀行が独立していなかったらMMTは無効だ。通貨の独立が重要

④インフレは機械的なものではないのだから上手にコントロールできない

⑤政治的コストが大きいから導入できない

 

5つの批判に関してはある程度知識はあるよ。という人の場合

私自身も込み入った内容の批判に関しては理解できていません。「上の批判に関してはある程度わかってるよ」という人は、MMTをもう少しルーツから批判している記事があったので紹介します。

MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(1)─政府と中央銀行の役割 – 野口旭という記事シリーズです。

 

国内の記事の中ではもう少し深いところで解説しているように見えます。

野口さんという反MMT寄りで有名な方なようです。(専門用語が多いため、暗号資産について普段は調べている私には内容をあまり理解できないところがありました。

ただその辺の日本語の記事よりは踏み入った内容ではあるので参考にはなりそうだと思い貼りました。)

 

①MMTはお金を無限に発行できるとするトンデモ理論である

MMT批判の中でも最初に出てくる批判だと思います。オーソドックスな経済学者(以降は主流派の経済学者と呼びます)あたりのメインの主張です。

MMTの主張と比較して見ましょう。

 

主流者の経済学者→財政赤字は悪ではないとMMTは主張するのだから、無限に財政赤字ができてしまう。だから無限にお金も供給できてしまうからお金の価値が暴落してしまう。そんなのおかしいに決まってる。

MMT→自国通貨建ての通貨の供給量が大きくなり過ぎると、インフレ率が上昇します。インフレ率がある一定(2%目安)に達するまでの範囲で財政赤字することは悪でも善でもない。ただし、需要的に必要なら善だから供給すべき。

 

この主流派経済学者の批判は、MMTの主張の中の一部だけを切り取ってピンポイントで批判しているため、本当のように聞こえる人もいますが批判がそもそも成立していません。

 

もっとシンプルに批判を言い表すと、「財政赤字は悪いものではない、ただしインフレ率の条件付きで」という主張に対して、「財政赤字は悪くない」だけ切り取り、「インフレ率の条件付きで」を無視して、だったら無限にお金が発行できる!と批判していることになります。

 

②MMTを採用すると無税でも国が成り立つのでハイパーインフレが起こる

「①MMTはお金を無限には発行できるトンデモ理論である」の延長線上の批判です。

「財政赤字は悪くない」という部分だけを切り取って考えて見ましょう。

 

「財政赤字は悪くない」→だから「黒字化のための税金を徴収する必要がない」→だから「無税も許される」→だから「無税になると消費活動が抑えられなくなり通貨の供給不足になる」→だから「ハイパーインフレになる」

 

といっています。

繰り返しになってしまいますが、「財政赤字は悪いものではない、ただしインフレ率の条件付きで」という主張がMMTなので批判そのものが成り立っていません。

 

③中央銀行が独立していなかったらMMTは無効だ。通貨の独立が重要

MMT論者は銀行側がどの程度、他の機関などに裏でコントロールされているのかを証明することができないので批判としての正当性がないとしています。

MMT論者の中には「日々の業務に影響はない」範囲でコントロールされていないことはMMTの条件としては必要とする人もいます。

 

④インフレ率の調整は機械的なものではないのだから上手にコントロールできない

1つ目に、ハイパーインフレになった場合、抑制するためには政治的な物事が多いのでコントロールできなくなる。という批判があります。

これに対するMMT肯定派の反論としては、すでに世界の中でも最悪な水準で国債を発行してきているのに、長期金利は逆に下がってきた。

その知らない内にMMTと似たことを実践していた日本はハイパーインフレにはならない。これまでの日本の延長線として、段階的に財政赤字を拡大してMMTを導入していけば良いという反論です。

 

二つ目に、津波や震災のような大きな災害時で通貨が不足するとハイパーインフレになるかもしれないのに、MMTを採用しているととっさにインフレ抑制のための増税ができない。という批判があります。

過去の震災、すなわち物理的なダメージでハイパーインフレになったパターンは戦後(特に敗戦国)の場合くらいです。それも物理的なダメージだけでなく戦費で消耗しているケースでなっているため、震災オンリーでハイパーインフレになるというのは前提として難しいでしょう。

 

またハイパーインフレというのは総需要が供給をはるかに超えてしまって生じるものですが、供給するモノが尽き果てれば歯止めが効きます。

もしも供給側が限りなく0まで崩壊してしまえば別ですがある程度の生産できる力が残っていればモノ不足でハイパーインフレになる可能性は考慮するレベルではないでしょう。

 

⑤政治的コストが大きいから導入できない

国の予算は一度決めると容易に変更は難しく、毎年予算がMMTによって何十兆円と変わってしまうとそれに政治全体で合わせることは非常に困難なので政治的に容認できない。といった批判があります。

MMTは必要に応じて、一定のインフレ率の範囲内で財政支出をしても良いとする考え方なので予算という制約がありません。

そのため、予算を決めるための政治的コストは理論的には存在しないので視点がズレてしまっているので批判として成り立っていないでしょう。

 

日本のMMTは特殊なポイントがある

ここからは、ネットでよくある批判とは別の話をします。

国によって財政状況が違うのは当たり前ですが、日本においてMMTの話が盛んになっているのは理由があります。

 

・日本は自国通貨建てがメインの国である

・日本は債権大国である

・日本は数百兆円とこれまで債権発行したにも関わらず

・国民が20年間のデフレを経験してきてる

 

上の条件があるのでMMTを導入して見る土地として良い環境になっています。ですのでアメリカの財政におけるMMT議論と日本の財政におけるそれとでは少し状況に違いがあります。

また、MMTを支持する人たちはMMT議論の以前に「これまでの財政政策で20年間のデフレが続いているのに増税されたら更に消費意欲がなくなってしまう」という点について突っ込んでいた人たちも少なくありません。

MMTはその手段として使える。ということに気づいた人たちが支持しているように思います。

 

MMT理論(現代貨幣理論)でよくある批判をまとめてみた まとめ

まとめた批判は一部です。また、批判に共通するポイントに関してはだいたいインフレがアップするよね。に帰結している印象を受けました。(時間のあるタイミングで批判されている争点を増やしていきたいと思います。)

実際、MMTでハイパーインフレになる可能性は皆無ではないかもしれません。

一方で日本は、GDPに対する政府債務の残高が240%で先進国の中では最悪だそうでして、そんなことになるまで財政赤字を行ってきたにも関わらず金利が上昇していない矛盾はどのように説明できるのかは無視して欲しくありません。

 

日本でMMTを唱える人でもいきなり「これまでのやり方を全部引っくり返して取り入れるべきだ。」

という過激な人はあまりいないと思うので、日本が国債王国でありながら金利が上がらないデータを小さく検証するという意味合いで持って小さくテスト導入していけば良いのでは、と思います。