逆イールドとリセッションの関係を基本からわかりやすく解説してみた
「 逆イールドが起こるとヤバイみたいだけどどうヤバイのかが分からない 」
「 逆イールドとは何かの基本的なところからわかりやすく知りたい 」
2019年8月14日に発生を確認された逆イールドですが、この逆イールドはアメリカの10年国債と2年国債で起こったものでした。
10年国債と2年国債で起こったからこそ不味い現象だと言われています。
ではそもそも逆イールドの何が問題なのでしょうか。
ほぼ100%の確率でリセッション(景気後退)が起こる
ただの不景気なら良いですがアメリカ発の大きな不景気です。誰にとっても問題となり得ます。
過去に直近では2007年のリーマンショック前で生じており、アメリカでは3度の逆イールドが生じてきましたがそのどれもリセッション(景気後退)が訪れました。
詳しく解説します。
草猫店長の目次ノート

そもそも逆イールドとは何か
長期の国債金利 < 短期の国債金利
となってしまう現象のこと
お金を貸す期間が長いほど、返ってくるリターンは大きくなるというのが一般的な金利の原則です。
対個人で考えても、長い間貸してあげたらその分だけ見返りが大きいのが一般的な道理ではないでしょうか。それが逆転しまう現象が逆イールドです。
逆イールドから読み取れる相場の心理としては、将来の見通しは悪いが、目の前の見通しは良い。というものです。

僅かですが8月14日の終値をみても僅かに2年利回りの方が大きい数字になっていました。
この現象がまさに逆イールドで、2019年3月の時点でも3ヶ月アメリカ国債が10年アメリカ国債より大きい形で生じていました。
しかし過去のリセッション(景気後退)との強い相関関係を見せていたのはアメリカ国債の2年と10年での逆イールドで、8月14日がまさにそれとなってしまいました。
アメリカ株価暴落の引き金に
S&P500種株価指数が3%近く下げたほか、ダウ工業株30種平均は800ドル安と今年最大の下げとなり、構成30銘柄が全て下落。2007年以降で初めて10年債の利回りが2年債利回りを一時下回ったことで、株安に拍車が掛かった。30年債利回りは過去最低水準に達した。業種別ではゴールドマン・サックスをはじめとする金融株の下げが目立った。
ブルームバーグ – Photographer: Michael Nagle/Bloomberg 米国株が急落、ダウ800ドル安-逆イールドに
ブルームバーグによると、逆イールドが2019年8月14日に発生したため大幅なダウ工業株のドル安となったそうです。
世界の銀行や投資家たちから景気が警戒すべき水準に入っていくと判断された反応とも言えます。
米英で2年債と10年債の利回りが逆転し、それと示し合わせたように株式市場では銀行株が一斉に売りを浴びた。
ー以下略ー
ケンペン・キャピタル・マネジメントのチーフストラテジスト、ルーロフ・サロモンズ氏は「債券利回りはアルマゲドン(最終戦争)を織り込みつつある」と指摘。「懸念されているのは、低金利は景気と企業を支援するが、銀行の収益性を損なうことだ」と述べた。
逆イールドで銀行の利回りにも影響。そのことを事前に懸念して相場は銀行株を手放して行っています。
アメリカの過去3回の的中率は100%
過去に3回アメリカでは逆イールドが生じ、その後に有名な不景気が訪れています。
・2007年度のリーマンショック前
・2000年度のITバブル崩壊前
・1990年度の湾岸危機と重なった不動産バブル崩壊前
実際、上記のタイミングで逆イールドが生じており、皆さんがご存知の不景気が生じており日本も巻き込まれるものとなっています。
リセッションとの関係は ~どのような導線を辿るのか~
「逆イールドの後に不景気が訪れるのは分かったけれどやっぱりどのようなルートを辿ってそうなるのかいまいち掴めない」
と思った人もいると思うので解説します。
リセッション、すなわち景気後退までのどのようなシナリオなのか簡単に説明してみます。
→逆イールドで銀行の稼ぎ頭である長期金利の利益が得られなくなる
→CLOやレバレッジドローンと呼ばれるリスクの高い商品価格の下落に繋がる
→経営体力のない銀行が徐々に破綻し始める
→ドイツ銀行(CDS7000兆円を保有して大量リストラしてもなお既に倒産水準の株価の状態)に限界が訪れて破綻する
→ドイツ銀行のCDSと連携している多くの中国企業や大手企業(フォルクスワーゲン)とも強く繋がっており、連鎖倒産を生じさせる
→中国の不動産バブル崩壊なども誘発し世界
→大手企業の倒産に伴い世界の企業も連鎖倒産(アメリカのレバレッジド・ローンの高金利が支払えなくなり資金繰りできなくなる企業も現れる)
→リセッションへ突入
あくまで一つのシナリオですが、世界で金融危機の爆弾を抱えているところから相互連鎖して徐々に崩れていくという点では同じかと思います。
また、これもよく言われることですが、「つまりリーマンショック級の不景気がまた訪れるかもしれないということか」と思った人もいるかもしれません。
しかし残念なことに今回の懸念されている規模はリーマンショックのようにアメリカ一国の話ではなく、CDSの7500兆円やレバレッジドローンなどのハイリスクなデリバディブが引き金です。
リーマンブラザーズの負債総額は64兆円でしたので規模はリーマンブラザーズの比ではありません。
リーマンショック時はアメリカ合衆国の財務省が3兆ドルの救済措置として資金を注入したりしています。
しかし、今回は国が資金注入してどうこうできる金額を優に超えているのであくまで最悪のケースですが、リーマンショック時の10倍以上の経済的なダメージはあるかと思います。
体力のある企業などが上手くドイツ銀行の破綻などを抑えてくれれば良いですがどこまで支えてくれるのかは不透明です。日本もどこまでダメージを受けるのかは分かりません。
ちなみにリーマンショック時は日経平均株価が約12000円から約7000円まで下落しています。

中国バブルに関しては中国バブル崩壊と仮想通貨のゆくえ 【 資本逃避としての暗号資産 】が参考になると思うにゃあ。
リセッションまで時間はあるので準備が必要
逆イールドはどうして注目されるの?|第一生命経済研究所によると、「過去に逆イールドが発生した際には、その後11ヶ月~25ヶ月後に景気後退期が訪れている」と言及されています。
今の所、アメリカの逆イールド後の発生率は100%ですが、時間的な猶予はあります。
必ず起こるとは限らないが対策は打ちたい
逆イールドの発生自体が、必ずしも景気後退 をもたらすわけではありません。しかし、多くの市場参加者が逆イールドを景気後退の兆候と考えているため、逆イールドの発生をもって投資家が投資資金の回収を行う など、自己実現的に景気後退をもたらす可能性もあり、逆イールドの発生が注目されているのです
「自己実現的」とは対象の出来事を意識し過ぎるあまり避けているはずなのにその出来事を引き起こしてしまうことです。相場は心理でできているのでつまり皆が景気後退と強く意識するほどそうなっていくということですね。
マスメディアが逆イールドのような重要事項を報じないで芸能人のスキャンダルを報道しているのはある意味で良いことなのかもしれません。
話を逆イールドに戻すと、逆イールドは過去3回とも生じているからといって、今回も必ず起こるかどうかは神のみぞ知る話ですが過去の傾向を見ると強く意識せざるを得ません。
株や為替を保有している投資家は当然ですが何か手を打つ必要はあるでしょう。
それに個人レベルの資産であっても紙幣の価値もどうなるのか分かりません。打てる対策は打っておく必要はあるのではないでしょうか。
8月14日から25ヶ月間は特に警戒が必要ということですね。
トレーダーであれば空売りに備える時期
逆イールド後の傾向としては、逆イールドが生じてからジワジワと株価が下がっていくわけではありません。
むしろ逆で、逆イールドが生じてから株価が一気に上昇する傾向があり、その後に上昇を上回る勢いの大きな下落が訪れる傾向があります。
したがって今すぐ空売りの準備をするのではなく、ある程度の天井に近く兆候を読み取った上で空売りできるようにする必要があります。
トレーダーでない人は金のような逃避に扱われやすい資本に移したりする必要があるかと思います。
暗号資産はどうなるのか
当サイトのビットコンバーゲンは暗号資産(仮想通貨)の特化ブログなのでビットコインの視点からも解説します。
これまで私はビットコインに関することは総合的に調べて記事を400記事ほどアウトプットしました。
結論からいうと、ビットコインにとっては好機となると考えます
①リセッションによってダメージを受ける要素がない
②価値保存の手段として定着してきている
③半減期のタイミングとも重なり投資しやすい
①リセッションによってダメージを受ける要素がない
世界各国の価値は主にドルやを中心に決まっています。ドル基軸で資源を売っているような国はアメリカの景気に引っ張られて共に不景気になったりします。
しかしビットコインのような暗号資産の価値は国からほとんど切り離されています。次のリセッションが起こったとしてもドルやユーロ、先進国の為替インデックスにも影響しないものです。
②価値保存の手段として定着してきている
2018年度には「ビットコインは実体経済の中で役に立たない」ということが判明しました。一方で最近ではキャピタルフライトとして注目されている事例が増えてきています。
資本逃避するための価値保存の手段として徐々に定着する流れが見られます。
根拠を知りたい人はインフレ対策としての仮想通貨 (暗号資産) の実例【キャピタルフライト】
もしくは、ビットコインは資金逃避先として活用されている件についてまとめてみた
を参考にしてみてください。
例えば、ビットコインの半分ない位の割合で取引高は中国の富裕層が占めています。(テザー建てで表には出てこない)
世界経済に関してある程度は調べている人であれば中国の大量リストラや大量倒産の話は知っていると思いますし、私は中国人の投資家の人と話したことがありますが今は投資としては厳しい時期だと言っていたのを直接聞きました。
つまり中国の景気に釣られて資本逃避的にビットコインへ逃げる中国人(大半はおそらく富裕層)も多いということです。
このように国によっては価値保存の手段としてビットコインがすでに利用されていると考えた方が良いかと思います。それに伴い、投資家保護の環境も整いつつあります。
カストディサービスと呼ばれる投資信託が代理で預かるサービスも盛り上がりつつあります。
(詳細は:仮想通貨(暗号資産)のカストディサービスとは 【 参入障壁を下げる】)
法定通貨が全体で不景気になれば、ビットコインへ逃げる富裕層は多いと思いますし、金よりもポテンシャルは高いと考えます。
有名ウイルスソフトCEOのジョンマカフィーなどは極論な発言で真に受けるべきではないですが近い将来、1BTCがおよそ1億円になると発言しています。世界の不景気も織り込み済みでないと不可能なでしょう。
③半減期のタイミングとも重なり投資しやすい
半減期とは、ビットコインのシステムを支える人(マイナー)が得られる報酬が半分になる時期です。半減期が訪れるとビットコインの価格は上昇する傾向があります。
ビットコインの報酬はすなわちビットコインが新たに発行されることを意味しますが、ビットコインは2100万枚までしか最大で供給されません。
マイナー達が見合った報酬を受け続けるために報酬は4年に1度だけ半減されて行きますが、半減後はビットコイン価格そのものも上昇しているのでマイナー達は報酬のためにシステムを支え続ける経済合理性が働き続きます。
つまり、ビットコインの価格が上昇するということです。
半減期後のビットコイン価格上昇の根拠となるデータ

次は2020年7月頃に半減期が訪れます。(厳密には21000ブロック毎に半減期が訪れるので生成スピードに依存します)
このデータの詳細は未来は読める?! 仮想通貨の半減期で上がるのか チャートで価格を解説を読んでみてください。
資産の一部を万が一のリセッションに備えてビットコインへ投じて置くのは賢い選択肢の一つと考えています。
始め方もろもろに関しては【 保存版 】 ビットコイン投資の始め方を初心者向けにまとめてみたの記事を見れば大方理解できるようになるかと思います。
逆イールドとリセッションの関係を基本からわかりやすく解説してみた まとめ

・逆イールド後の11ヶ月〜25ヶ月スパンでリセッション(景気後退)が訪れる傾向にある
・アメリカ過去3回の逆イールドでは必ずリセッションが訪れている
・確実に起こるわけではないが自己実現的にリセッションが起こる可能性もあり、資産の一部をゴールドや暗号資産などの逃避資産に入れておくか空売りに備えておくとモアベター
逆イールド後のリセッションは100%起こるかはどうかは誰にもわかりません。
しかしそもそもとして、リセッションは世界各国の経済の動きをみているといつ起こってもおかしくない状況であるとは日頃から感じてしまいます。
というのも過去の金融危機などをみていても、リーマンショック問題は終わったかのように見せかけて欧州債務危機など次の金融危機へのダメージへと連鎖して次のさらなる大きな爆弾を抱えていっているからです。
例えばギリシャショック時にはギリシャの怠慢が招いたことかのようにメディアで報道されていましたが、ことの発端にはリーマンショック→欧州債務危機→ギリシャショックと言ったように実は別の導火線に通じていていますし、トルコリラ暴落も元はそこに繋がると思います。
いずれにしても法定通貨の在り方とか資本主義の限界などなど、スケールの大きすぎる問題が裏にはあると思っています。またそんな時代の中で暗号資産というのは今後も非常に面白い立ち位置になっていくんじゃないかなと考えています。
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