【 GE(ゼネラルエレクトリック)の粉飾決算 】世界経済への影響まで解説

GE(ゼネラルエレクトリック)の粉飾決算 サムネイル

「 GEの粉飾決算で倒産がどうのこうのって言われてるけどどこまで本当かな〜 」

「 そもそもGEってどんな会社なのかな 」

 

さて、GEの粉飾決算は最低でも380億ドルと呼ばれており歴史的に見ても稀にみる規模の粉飾規模です。

・GEは長期介護事業で290億ドルの損失が発生していることを隠している。

・GEはベイカー・ヒューズ事業で91億ドルの損失が発生していることを隠している。

引用 BonaFidr – GEの巨額粉飾決算事件:「4ヶ月後には倒産している可能性あり」とマルコポロス氏

内訳は介護とヒューズ事業がメインですが全てを調査できている訳ではないので”最低でも”380億ドルだろうと疑惑が7ヶ月間の調査により浮上しているそうです。

ハリー・マルコポロスが内部告発者として175ページを報告書として提出しています。(報告書のソースはこちら – GENERAL ELECTRIC, A BIGGER FRAUD THAN ENRON

 

GE側は不利にならないような弁護を続けているようですが額の信ぴょう性は別としてある程度のボリュームの粉飾はしていないとこんな額でメディアに拡散されない気がします。

株価が暴落したGEの画像

このニュース、一見するとアメリカ一企業の粉飾決算の事件という感じしかしませんが、実はもっと深読みできることがあります。

GE粉飾決算からみて取れる視点

・過去最悪だったエンロン社の粉飾決算と似ているポイントがある

・逆イールドの時期と被っており景気後退面としての兆候とも読み取れる

・社債が金融危機の引き金となり得る

 

この記事を読んでいる方であればご存知な人も少なくないかもしれませんが、今は世界の経済的は全体的に雲行きがかなり怪しくなっています。

「ドイツ銀行破綻の懸念」「中国バブル崩壊の懸念」「英国ブレグジット」「レバレッジドローン」「米中貿易戦争」

上げれば色々とありますが、今回のGEも背景としてはこれらの中の1つのピースという風に読み取れます。

 

順番に解説していきたいと思います。

 

過去の最悪な粉飾決算であるエンロン社と比較されるGE

エンロンの映画

Amazon:エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版

いきなり粉飾380億ドルがあるのかもしれない。と言われてもどのくらい酷いのか今いちピンと来ないかと思います。

よくGEと比較されるのはエンロン社です。どこで比較されるのでしょうか。

エンロン社とは

・総合エネルギーとITビジネス事業を起点に多角化事業を展開した多角的大企業だった(最も革新的な企業として6年連続フォーチュンの米雑誌で掲載)

・長年の粉飾決算が明るみになると公表されてから4ヶ月で倒産(監査のアーサー・アンダーセンも解体されアクセンチュアへ)

・粉飾決算が発覚した2001年度の売上高全米7位、世界16位でアメリカを代表するマンモス企業だった

エンロン社の粉飾決算の発覚してからの倒産後に、売り上げ13兆円の資産を計上していたワールドコムも粉飾決算が発覚して1年後に倒産しました。(後にワールドコム・ショックと呼ばれ不景気が訪れる)

 

比べてGEもアメリカのトップ10を代表する多角的大企業です。

経済規模も事業の多様性もエンロンと近似するところがあります。

 

何より粉飾が発覚するタイミングが共通しています。どちらも景気後退の局面で粉飾が発覚していることです。

ただし、粉飾金額に至っては残念ながらGEの方が一枚上手です。エンロン社は160億ドル超えでしたがGEの粉飾金額は少なくとも380億ドルとのことで2倍以上の規模です。

 

景気後退(リセッション)と連動して起こりやすい事件?

2019年8月末である現在がすでに景気後退(リセッション)に突入していたのかは未来でないと判定できませんが、無視できない兆候があります。

 

逆イールドです。逆イールドとは金利が大きくなるはずの長期国債の金利が、短期国債の金利より安くなってしまう現象のことです。(詳細:逆イールドとリセッションの関係を基本からわかりやすく解説してみた

不動産バブル、ITバブル崩壊、リーマンショックのおよそ2年前に逆イールドが見られておりご存知の結果となっており今のところは逆イールドが生じたあとは100%の確率で景気後退(リセッション)が確認されています。

 

エンロンもGEも逆イールドが生じた後に粉飾決算が報告されています。

ただし時期は少し異なります。

 

エンロン事件の直近の逆イールド地点は2000年2月

→2001年10月に粉飾決算が発覚

GE事件の直近の逆イールド地点は2019年8月14日

→2019年8月16日に粉飾決算が発覚(疑惑)

 

ということでGEの方は逆イールド後に即で生じていると言えます。

 

逆イールドを抜きに考えても世界の景気は冷え込んでいる

先進国の成長が頭打ちになっているという情報は様々なメディアで語られているところですが、最近となっては経済成長できないままでいることによる問題が顕在化していっているような印象を受けます。

 

例えばアメリカの長期国債金利の利下げもアメリカだけの話ではなく、世界各国の長期金利の利下げとそれに伴い儲かる柱を失った銀行がリスクの高いデリバディブに手を出していてきそれがアメリカ金利にも相互連鎖的に影響を与えたとも見て取れます。

 

それの代表はドイツ銀行の7500兆円ほどのCDS残高でしょう。銀行が儲からないということで”投機的”な商品に手を出してしまい過度なリスクを背負ってしまいました。(詳細:【 CDS(デリバディブ)でドイツ銀行が破綻 】CDS基本と破綻の可能性

そしてドイツと長年タッグを組んできた中国(軍事関連部品の製造など)も急成長に伴い、不健全な不動産価格のコントロールを続けていよいよ限界に近づいています。

中国は負債で負債を生み出し急速に拡大してきた国です。そのツケの綻びは中国最大手のソーシャルレンディング社の倒産や大量リストラなどからもすでに顕在化され始めています。

 

日本も例外ではなく長期間のマイナス金利で、日本の銀行はアメリカのレバレッジド・ローンと呼ばれるゾンビ企業だけの寄せ集め証券の大口投資家となっています。(詳細:レバレッジド・ローンとは何かを分かりやすく解説した

 

GE(ゼネラルエレクトリック)が倒産すると世界恐慌の導火線になりかねない

世界全体として資本主義そのものに限界が生じていることは金融経済を代表するJPモルガンの声明からもみて取れそうです。

 

さて、世界は様々な爆弾を抱えてはいますが世界恐慌の決定打にはそうやすやすとなりそうにはなさそうです。

 

例えばドイツ銀行もかなり危険だと言われていますがドイツ銀行が破綻することで困る企業などが買い支えたりするはずだからです。

大きすぎて倒せないというリーマンショック時に有名になった文言がありますがまさにそれで、巻き込み倒産するくらいなら利益を犠牲にしてもサポートするでしょう。

 

レバレッジドローンに関しても、その市場だけを見るとデフォルトの確率はとても低いようです。

しかし市場の外部要因でレバレッジドローンの市場にいる中小企業が連鎖倒産でもするとこの市場全体の証券価値が暴落することは連想しやすいところです。

 

GEはアメリカ的代表企業ですので、GEがもし倒産でもすれば日本でいうならトヨタや東芝が倒産したような衝撃があります。一体どれだけの依存関係の取引先を抱えているのか計り知れません。

つまりGE単体では世界恐慌は起こらずともGE倒産がきっかけにこれまで世界が抱えていた爆弾の導火線となってしまう可能性があります。

こればかりは世界の誰にも分かりませんが巨額の社債が世界の恐慌へと繋がった例はあり、GEの影響力を考えるとGEの今後の動向は無視できないのではないでしょうか。

 

 

過去の大手の粉飾決算が公になった企業の末路

過去にバリアントという世界トップクラスの製薬会社は粉飾決算が公表されるや否や株価が20分の1になりました。

そして一企業だけでなく、粉飾決算が発覚すると世論が粛清モードに入り様々な企業が疑われてエンロン社に次いだワールドコム社のような相次ぐ倒産や解体へと繋がってしまいがちになります。

 

GE粉飾決算の信憑性 ~ 一般人にはやっているのか分からない模様 ~

この記事を書いているタイミングはあくまでも疑惑の段階です。100%とは言い切れないので煽り過ぎるのもよくないものですね。

専門家が7ヶ月にも渡ってチームを組んで95年からの粉飾と見られる根拠を発見していた位のポイントなので、専門的知見が必要そうで一般人には確認できないようです。

 

エンロン社も内部の自作自演により利益を見かけ上の何倍と見せかけていたのですが外から見ると分からなかったそうで、私たちは粉飾報告が虚偽であると願うしかないですね。

 

ウォーレンバフェットから見捨てられていたGE

ウォーレンバフェットが株を手放してからの株価下落の画像

エンロン社の際も粉飾の発覚前から有力投資家の間には粉飾の疑いは周知だったそうです。

過去にウォーレンバフェットは2017年3月あたりにGEに失望して株を全て手放したと記事になっていますが、粉飾決算などを予知してだったのでしょうか。

明らかにウォーレンバフェットが手放してからのGE株価の凋落は凄まじいかと思います。130年以上の歴史を持つ会社ですのでアメリカ国民にとっては尚更インパクトがあるかと思います。

 

おまけ:エンロン社の倒産とイラク戦争

2003年にイラク戦争が起こりました。エンロン社の倒産は2001年12月で、ワールドコムは2002年7月に倒産です。

ITバブル崩壊後とエンロン社の倒産は被ってしまっており悪いニュースは重なり景気は低迷したままでNASDAQの株価は当然ですが下落をずっと続けていました。粛清ムードも変わっていなかったそうです。

 

しかし2003年3月にブッシュ大統領がイラク戦争をはじめてから世間の関心は戦争に向いています。更に2003年3月頃の株価が底となり不思議なことに株価はリーマンショック時まで上昇していきました。

 

 

GE(ゼネラルエレクトリック)の粉飾決算 まとめ

GE(ゼネラルエレクトリック)の粉飾決算 まとめ

「企業利益は健全だから現在の株式市場はバブルではない」という指摘も多い。だが、マイケル・スナイダー氏が言うように、「それは金融工学によって、帳簿が膨らまされ押し上げられたもの」である。しかも、「企業年金の積立不足が膨らんでいる。たとえば、GEのそれは現在、310億ドルにも上る。そして、企業利益は米国家計の90%を犠牲にしたもの」でもあるのだ。

引用:トウシル – 「魔の8月」これから?逆イールドより怖いGE不正会計と金融工学の罠

エンロン社の倒産後は幹部クラス以外の2万人の社員たちは無残だったようです。

エンロン社の未来を信じていた社員は自社株(老後安心資金401Kの)を投資していたそうですが、倒産で老後の資産をほとんど失ったそうです。

ガン治療を受けられずに死亡した人や娘にウェディングドレスを買うほどの資産も持たないような人も中にはいたそうです。

 

そのエンロン社を上回る勢いのGEですが、粉飾決算が嘘であると良いですね(たぶんほぼ確定だろうけど)