Facebookが発表したLibra(リブラ)のなにが凄くてどれほどの影響力を暗号資産界に影響を与えるのかまとめました。
「Libraは他のブロックチェーンや仮想通貨とどう違うの?」
「本当に発行されて利用されるようになるの?」
など色々と思うところがある人もいると思うのでそうしたことがわかるようにまとめています。
・Libraは5年後を目処にパブリック・ブロックチェーン化するポイントマネーである
・23億人マーケットにアプローチするので仮想通貨業界への影響力も大きい
・XRPのような根回しはなく、世界各国から独自の規制を敷かれる可能性があるので容易に普及しそうにはない
この記事の信憑性
この記事の信憑性ですが、これまで仮想通貨に関する記事だけで350記事をほぼ1人で書いてきた草猫店長(中の人)がお送りしています。
海外情報から論文を読み、世界を放浪しつつブロックチェーン先進国への訪問したり、Webサービスを開発したり、世界経済について調べて得た知見などから包括的に仮想通貨に関する記事を1年半に渡り中学生でも理解しやすいことを意識してまとめてきました。
草猫店長の目次ノート
Libraとは何?Libraの基本
・金融サービスのための技術である
・銀行口座を持たない17億人の口座に焦点を当てたプロジェクトである
・ブロックチェーンに近い技術であり、5年間にかけてブロックチェーン化していく技術である
・価格変動が抑えられたステーブルコインである
・2020年度を目処にFacebookの関連アプリで価値交換できるLibraコインを発行する
・Masterカード・VISAなど有名28社とパートナーシップをもつ
Facebook社が発表して物議を醸しているLibraです。
Facebook内のアプリと連携して価値のやりとりができる他に、スマートコントラクトを構築可能です。
一方で、採用している仕組みはコンソーシアム型ブロックチェーンと呼ばれる企業が自動効率化によく用いるブロックチェーンです。
ビットコインやイーサリアムに代表されるパブリックチェーンとは異なります。
私の印象は、世界で最大級のコンソーシアム型ブロックチェーンになるのかなという印象です。
(コンソーシアム型ブロックチェーンがよくわからないという人は【 ブロックチェーンの基盤を比較 】 中央集権型で非中央集権型でゆらぐチェーンを参考にどうぞ。)
実現すればLibraの影響力は大きい
Facebookの公式サイトによると「2018年12月31日時点での月間アクティブ利用者数は23億2000万人」となっているそうです。
すでに濃いユーザーがこれだけ集まっている所に、今までの使い勝手でスマートコントラクアプリが導入される訳なので影響力はかなり大きいです。
FBのアカウントはあるが口座の持てなかった途上国層もそのまま入ってこれます。
自国通貨がハイパーインフレで使い物にならない国民にとっては法定通貨に基づいたステーブルコインであるLibraコインは闇レートのドルを集めるより価値があるでしょう。
Libraに投資できたら儲かるの?
Libraはステーブルコインです。価値の裏付けが法定通貨となっていますし、価格変動が極力ないようてにデザインされることになります。
資金調達を近くで発表すると思われますがFacebookの株価は上がってもステーブルコインの価格変動は期待できないでしょう。
Libraは分散型ブロックチェーンではない
最初にみんながイメージするブロックチェーンは世界中の参加者がノード(取引の全履歴)を保有してデータの更新を支え合っているものをイメージすると思います。
しかしLibraはコンソーシアム型チェーンで将来的に最大100人程度をバリデーターとしてその人たちオンリーでデータを更新していきます。
完全な中央集権モデルではありませんが、データベースを多く使う部分も多いとのことでみんなのイメージする分散型のブロックチェーンとは毛色が違うものになります。
ただし、5年後を目処にパブリックチェーンへ移動させるそうです。
各国でLibraは規制の声(少数の国で肯定的)
\\ Libra(リブラ)発表の各国反応 //
フランス財務省→強い懸念感
イギリス中央銀行→適切な規制必要
アメリカ下院 金融サービス→停止を勧告
ロシア金融市場委員会→合法されないだろう
インド→その前に仮想通貨使うと禁固刑な(法案)
日本 日銀→よく分からんから後で— 草猫店長💴ドルコスト平均法(しましょう) (@CryptoKusacoin) 2019年6月22日
イギリスなど一部の国で肯定的なニュアンスのある返答をしながらも、ほとんどの国はそのまま受け入れる体制ではないようです。
Facebookとモラル問題
中心としてはプライバシー問題がよく挙げられます。
Facebook、過去3年で150万人分の連絡先データを無断で収集──Business Insider報道
Facebook「プライバシー問題」から何をどう読み解くか – Yahoo
Facebookの5,000万人分の情報流出について、いま知っておくべきこと – Wired
もともとFacebookが持っていた倫理的なトラブルがあります。
この倫理的な文脈と、仮想通貨の規制の文脈、巨大SNSが大きな金融業を兼ねること、SNSを通じたマネーロンダリングなどに背景があるため世界中から叩かれています。
これまで国際送金がなぜ効率化されなかったのかは、お金の流れを誰がどう見ても正しく追跡できている状態にはとてつもなくコストがかかるからでした。
世界の銀行から見れば、Facebookのデータにアクセスしてお金の流れを追跡できるようにしなければならず非常に面倒ごとです。嫌うのは自然な流れかもしれませんね。
Libraの価値の裏付け
生み出されるすべての Libraに対してLibraリザーブで銀行預金や短期国債のバスケットを保有し、Libraの実態価値への信頼を築きます。 Libraリザーブは、長期的にLibraの価値を維持することを目的に運用されます。
Libraはリザーバー(資金提供者)を集めます。資金調達法はSTOと呼ばれるICOをSECの定める証券法の水準に特化した方法になるそうです。
ICOもいまいちよく分かっていないという人は【 IPOとICO(STOやIEO)との違い 】増える仮想通貨の資金調達手段をどうぞ。
Libraのリザーバーから集めた現実の法定通貨を、ある組み合わせてパッケージされた価値で裏付けとしているため価格変動は法定通貨並みに抑えられます。
いうまでもなく法定通貨に紐づいているので実態経済のあるものとなります。もう少し説明します。
Libraは投資家(リザーバー)の資産を価値の裏付けとする
Libraはビットコインで問題となる価格の変動幅(ボラティリティ)を抑えるための仕組みを採用しています。
複数の先進国の法定通貨や国債などを一まとまりとして分散投資に当てます。(バスケット方式)
法定通貨のインデックス(指標)のようなものですね。
それらがLibraの価値の裏付けとなるので要するに法定通貨と何ら変わらないものです。
ですのでジャンルとしては仮想通貨(暗号資産)ではありますが、価値としては本質的に法定通貨です。
Facebookのアプリで遊んで使える金融商品といった立ち位置でしょうか。ポイントカードに例える人もいます。
Libraの資産の裏付けはIMFのSDR(IMFからお金を支援して欲しい際に引き出す用の資産で、Libraが模倣しているポイントです)
そのためこれまでの仮想通貨のような投機性はありません。


SDRの定義はコトバンクで確認できます。
Libraの仕組みと技術的な特徴
・スマートコントラクトを実装できる
・専用のプログラミング言語Moveを採用
・ビサンチン将軍問題の対策LibraBFT
・バリデーター(Libra協会)を100人まで集めていく
・5年後(目処)まではブロックチェーンではなくデータベース処理がメイン
Libraはコンソーシアム型ブロックチェーンを採用しています。Move言語を自社開発して使用しています。
しかし、実際の処理の多くはデータベース処理で行うようです。
LIbraの責任者のインタビュー。
多くのトランザクションはブロックチェーン上ではなく各サービスのサーバー内でやり取りされると想定。(とするとCalibraもサーバーで運用の可能性高そう)https://t.co/XpHRDZWGCI— Junya Hirano 平野淳也 (@junbhirano) 2019年6月21日
Facebookはもともと自前のデータベースで月間23億人のアクティブユーザーの処理件数を捌いているのでそちらの方がコストを抑えられるのかもしれません。
何れにしても、非中央集権的なものとは異なります。
とはいえ、最近の仮想通貨の流れとしては分散性を犠牲にする代わりに高速な処理を得る仮想通貨の方が実利的なものとして評価されています。
その代表的なものがEOSになります。
Libraはスマートコントラクトを実装できるためEOSとプロレスを取るだろうと思われます。
(スマートコントラクトを知らない人は【図解】イーサリアムのスマートコントラクトの仕組みをビットコインと比較して解説を読んでみてください。)
一方で、これから実利的な方向へ移行しようとするイーサリアムはポジションチェンジした方が良さそうな気がします。

イーサリアムの詳細は【 PoS化でどうなるETH 】イーサリアムの将来性 【2019年版】を参考にどうぞ。
Libra(リブラ)ってなに? まとめ

・Libraの影響力は大きいと予測されるが、世界的には面倒なので各国の政府からは反対姿勢が続くと考えられる
・Libraは世界最大級のコンソーシアム型ブロックチェーンとなり得る
・投機性はなく、実質はただの法定通貨インデックス。ビットコインとは棲み分けされる
全体的な私の所感としてLibraは”ブロックチェーン風”な技術だなあと思います。表面はブロックチェーンのお城ですが、裏はがっつりFacebook社なんですよね。
ブロックチェーンは公平性の象徴になりますが、Facebookが好きにデータを抜き取れるし、好きにコントロールできるだろうし、分散型の未来とは違う印象があります。
本音は分散型社会の後押しというより、単なるユーザー離れを防ぐために仕方なくブロックチェーンを取り入れたという消極的な行動だったのではないでしょうか。
背景にはブロックチェーン版SNSなどがジワジワと増えていっています。若年層のユーザー離れが目立っているという指摘があります。
一応、口座を持たない人に口座が持てる世界をという素晴らしいビジョンに掲げてはいますが2017年〜2018年のICOで同じコンセプトはたくさんありました。
もはやテンプレートがあるんじゃないかという位、銀行を持たない可哀想な人たちを救いたい系の仮想通貨プロジェクトが沢山ありました笑
ですのであえてFacebookが掲げる必要性はないと思います。
そこにはFacebookの情熱らしきものは何も感じませんし無難な社会善アピールを適当に持たせたかったんだろうかなと疑ってしまいます。
Libraの本音と意図は妄想するしかありませんが、スマートコントラクト(DApps)の全体シェアを少しでもFacebookに寄せてユーザー離れを防ぐ目的なのかもしれません。
また、FacbookにつられてGoogle、Apple、Amazon.comなども「そろそろウチらも参戦かな〜」と様子見してるのではないでしょうか。
まだ始まったばかりでどうなるのかわかりませんので今後の動向にも注目ですね。
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